会見リポート
2021年01月29日
14:00 〜 15:30
オンライン開催
「2021年経済見通し」(6) 中国経済の行方 梶谷懐・神戸大学大学院教授
会見メモ
『中国経済講義―統計の信頼性から成長のゆくえまで』(中公新書、2018年)などの著書がある神戸大学大学院教授の梶谷懐氏が、コロナショック後の中国経済の現状と課題、米中貿易協議の見通しなどについて話した。
司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
■「2021年経済見通し」
(1)1月13日(水)矢嶋康次・ニッセイ基礎研究所研究理事 /チーフエコノミスト
(2)1月15日(金)関根敏隆・一橋大学国際・公共政策大学院教授
(4)1月20日(水)小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹
(5)1月25日(月)友田信男・東京商工リサーチ常務取締役情報本部長
会見リポート
「アリババ規制」、高成長阻害か
神子田 章博 (NHK解説委員)
中国政府は去年コロナ禍による経済の落ち込みに対し、5Gなど将来の成長性を重視した次世代のインフラ投資を重点に財政出動を行った。これについて梶谷氏は、給付金の支給を行った日本と異なり〝主流派の経済学に忠実な〟政策だと指摘した。
また中国は今後の発展戦略で、土地・労働等の生産要素を市場メカニズムに従い効率的に配置するとしているが、アメリカが批判を強める「産業補助金」については、ハイテク産業の発展にむけ重点的に投じる姿勢を今後も変えることはないとみられ、引き続き米中摩擦の大きな火種になると予測した。
さらに、中国政府が最近アリババ等のプラットフォーマーに対する規制強化を打ち出したことについて梶谷氏は、高成長を支えてきたイノベーションの勢いが削がれることはないか懸念を示した。中国経済はコロナを乗り越えた後もなお安定成長に向けた〝高い壁〟が待ち受けているようだ。
ゲスト / Guest
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梶谷懐 / Kai Kajitani
日本 / Japan
神戸大学大学院教授 / professor, graduate school of economics, Kobe University
研究テーマ:2021年経済見通し
研究会回数:6