会見リポート
2026年02月12日
14:30 〜 16:00
10階ホール
「2026年経済展望 激動の世界と日本を読む」(3) 柯隆・東京財団主席研究員
会見メモ
東京財団の柯隆主席研究員が、米中、日中関係の分析を交えながら、中国経済の展望について話した。
司会 高橋哲史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
会見リポート
中国経済「明るさ見えない」
川瀬 憲司 (日本経済新聞社編集委員)
柯隆氏にとって通算9回目となった記者会見は「2026年経済展望」シリーズの一環だったが、外交や安全保障など、中国を取り巻く幅広いテーマに及んだ。
本題の中国経済については「難しい状況」にあり、「低迷」しているとの認識を示した。デフレに陥っているとされる状態にありながらも、昨年の実質成長率は5%と、年初に掲げた目標とぴたりと一致する着地となった政府の公式統計を皮肉った。
一連の発表の中で柯氏が特に注目したのは最新の人口統計。昨年の出生数792万人に対し、死亡数は1131万人で、339万人の純減だった。中国の高度経済成長の基礎をなしてきた人口の「ボーナス」期は過ぎ去り、逆に負担を意味する「オーナス」期への移行がより明確となった点を強調した。
「一人っ子政策」からの転換の遅れやコロナ禍の影響、社会保障制度の未整備などを挙げたが、本質的に「間違った政策を正す力のなさ」や、仮に政策に誤りがあっても「謝罪もしないし、反省もしない」という中国共産党の統治体制に起因する弊害を指摘した。中国の人々の能力ややる気、向上心などから、経済の潜在力は「強い」のだが「残念ながら生かされていない」との見立てだ。
「明るさがみえない」中国経済について柯氏が示した唯一の「有効な処方箋」は、「自由化」とともに、党が法の上に君臨する「rule by law」ではなく、党も法の下に組み込まれる形での「rule of law」の実現を必須とした。来日から37年を経た今も「我が中国」と称した柯氏は、これができれば「中国の社会と経済は絶対に発展する」と力を込めた。
もっとも、習近平主席の「一強」体制が一段と強まり、政策決定メカニズムにボトムアップの要素がなくなっている現状を踏まえた難しさも認識している。要は「習近平主席が今の深刻さを理解しないと、何も変わらない」と述べた。
ゲスト / Guest
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柯隆 / Ke Long
東京財団主席研究員 / senior fellow, The Tokyo Foundation for Policy Research
研究テーマ:2026年経済展望 激動の世界と日本を読む
研究会回数:3
