2026年06月16日 14:30 〜 16:00 9階会見場
「どうなる成年後見」(3) 弁護士 赤沼康弘さん

会見メモ

弁護士の赤沼康弘さんは、成年後見制度に精通しており、被後見人の財産管理など実務も担ってきた。東京弁護士会高齢者障害者特別委員会委員、日本弁護士連合会高齢者・障害者権利支援センター幹事、日本成年後見法学会副理事長などを務める。

明治民法から続く禁治産・準禁治産制度が1999年に現行法に改正された際の経緯を振り返るとともに、今回の改正にいたった背景と法改正後に考えるべきポイントについて解説した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

新しい制度へ、企業や組織の備えは

中川 透 (朝日新聞社経済部)

 新しい成年後見制度のスタートに向けて、かかわる企業や組織は、どのように態勢を整えていくべきか。豊富な実務経験に基づく赤沼康弘・弁護士の会見を聞き、この制度がより一層使われる時代の備えのあり方を考えさせられた。

 新しい制度はこれまでの終身制から転換し、必要がなくなれば、「補助」を終わらせることができる。その終了した人に対して、「金融機関がどこまで取引を認めるかという問題がある」と赤沼さんは説明する。

 お金を引き出したい本人と、判断能力が不安な人との取引によるトラブルを避けたい金融機関。両者の立場にミゾが生じることは想像に難くない。金融機関に限らず、企業は補助を終了した人との間で、どのように安定した経済取引を続けられるだろうか。

 また、今の制度は本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型あるが、新制度では補助に一本化された。そのうえで、判断能力を常に欠く人に対して、「特定補助」という枠組みも設けられた。本人保護の度合いが最も強い、後見に近いしくみといえる。

 支援の現場では、本人の財産を奪われないように、保護する側にできるだけ権限を与えるという意識が働きやすい。赤沼さんは「特定補助が形を変えた後見にならないか、厳格に運用していくべきだ」と問題提起した。

 家庭裁判所の人員態勢も今後の課題という。現状でも業務が多いなか、新制度の下でどこまで充実した審理をできるか。会見の質疑で、弁護士など専門職の報酬のあり方について議論されたが、ここでも裁判所のチェックが重要になる、との回答があった。

 制度改正を盛り込んだ改正民法は、6月17日の国会で成立した。3類型での画一的な対応から、本人の状況に応じたより柔軟な保護や支援への転換。それに向き合う組織の態勢作りがこれからどう進むのか、見つめていきたい。


ゲスト / Guest

  • 赤沼康弘 / Yasuhiro AKANUMA

    弁護士 / Lawyer

研究テーマ:どうなる成年後見

研究会回数:3

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