会見リポート
2026年08月20日
14:30 〜 16:00
9階会見場
著者と語る『社会保障改革の岐路 信頼のセーフティネットは可能か』宮本太郎・中央大学教授
会見メモ
『社会保障改革の岐路 信頼のセーフティネットは可能か』(岩波新書)の著者、宮本太郎・中央大学教授が、社会保障制度が信頼を取り戻すための考え方を示した。
司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)
会見リポート
社会保障は信なくば立たず
竹之内 知宣 (読売新聞社調査研究本部)
大学の演習で年金の話をしていると、「それより新NISAについて知りたい」と真面目な学生から言われることがあるという。物価高騰による生活困窮、子育てや介護の負担、暮らしへの不安が高まっている。
まさに社会保障の出番だが、その信頼は大きく揺らいでいる。なぜか。福祉政策論の第一人者である宮本太郎さんは、「新自由主義」や「ポピュリズム」という言葉だけで片付けることはできないという。
経済格差で社会が分断。還元感の乏しい税や社会保険料の負担がかさみ、「見返りはあるのか」との疑念も強い。根底にある制度不信に向き合い、社会保障と雇用との連携について検証すべきと指摘する。
日本の社会保障制度は決して出来が悪いわけではなかった。経済成長も緒に就いたばかりの1961年に、当時は世界でも例がなかった国民皆保険・皆年金を実現した。
しかし、就労環境と家族の形が変化し、「中福祉・やや低負担」の国のなかに「低福祉・高負担」の層が出現した。非正規雇用など不安定な働き方を余儀なくされている新しい生活困難層だ。そして、なんとか安定雇用を維持し年功賃金を得ている層や、生活保護などの福祉受給層も、それぞれが異なるしんどさを抱えていて、相互への不信を募らせていると分析する。
では、どうすればいいのか。宮本さんは「雇用機会の拡充」「所得保障」「対人支援サービス」による三位一体の社会保障改革を提示する。また、少子高齢化、孤独・孤立の問題が深刻化する中、「働け、働け」と就労を迫るのではなく、承認を得て自己を肯定でき、つながりの起点となる「場」をつくることが大切だと、記者会見でも強調した。
社会保障を牽引するのは「信頼」という機関車だという。燃料不足で立ち行かなくならないようにするため、なすべき課題が山積している。
ゲスト / Guest
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宮本太郎 / Taro MIYAMOTO
中央大学教授 / professor, Chuo University
研究テーマ:社会保障改革の岐路 信頼のセーフティネットは可能か
