会見リポート
2026年09月14日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「生成AI」(8) 佐藤一郎・国立情報学研究所教授
会見メモ
AIの開発競争や米中による覇権争いが新たな局面に入りつつある。国立情報学研究所教授の佐藤一郎さんが、「AIに関わる米中競争と日本の現状」をテーマに登壇し、生成AIの仕組みやフィジカルAIに対し中国がどう取り組んできたのか、日本の戦略の問題点、生成AI活用の未来などについて話した。
司会 行方史郎 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
会見リポート
中国に太刀打ちできぬ恐れ
三井 誠 (読売新聞社調査研究本部主任研究員)
AI(人工知能)を巡る米中の開発競争は激しさを増すばかりだ。米国の最新AIが、開発者の意図に反して他社のシステムに侵入する事案が発生するなど安全性への懸念も高まっている。
佐藤一郎氏は米中の研究開発の現状について、「最上位性能モデルでは米国が優位を保っているが、中小規模モデルでは中国が優れているのではないか」と指摘。さらに、中国が低価格で生成AIを提供することで、米国のAI事業者が値下げを迫られる可能性に言及。「将来のデータセンター需要が縮小し、AIバブルの崩壊につながる要因になりうる」との見方を示した。
日本政府が成長戦略の中核に位置づける「フィジカルAI」についても解説。中国企業が、一般人を「教師役」に採用して10カ所の学習拠点で8時間2交代制のもと大量に動作を教え込ませている実態を紹介した。仮想環境で動作などを学習させる研究開発も進んでいるという。
その上で、既存の現場データの活用を目指す日本の戦略では、太刀打ちできない恐れがあると指摘。米国に先行または互角といえる中国の研究開発の動向を見極め、有利となる要素技術のサプライヤーになるのが、日本の戦略の一つになると提言した。
米中間での開発競争については「先行されることを恐れる各社が、開発競争を暴走させている」と分析。AIの開発競争にブレーキをかけにくい現状を解説した。
日本が自律的にAIを使える環境を維持していくための課題については、「日本の生成AIの開発は非常に遅れている」とした上で、「海外製も含め、一定の品質を満たしたAIを安定して確保できる体制を作ることが現実的だ」と指摘。米中の開発競争の中で、日本の苦肉の生き残り策を提案した。
ゲスト / Guest
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佐藤一郎 / Ichiro SATO
国立情報学研究所教授 / professor, The National Institute of Informatics (NII)
研究テーマ:生成AI
研究会回数:8
