2026年09月08日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「2026熊本地震」菅野拓・大阪公立大学准教授

会見メモ

人文地理学、防災・復興政策などを専門とする大阪公立大学准教授の菅野拓さんが、「なぜ繰り返すのか、どう変えるべきか」と題し、被災者支援の法的枠組みの成り立ちや、市町村を中心とする被災者支援が抱える構造的な問題、「餅は餅屋の被災者被災者支援」にするために必要なことなどについて話した。

 

司会 永山悦子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)

 


会見リポート

「市町村中心主義」見直しを

野田 武 (毎日新聞社オピニオン編集部)

 「なぜ繰り返すのか」。各地で被災地の災害対応を研究してきた菅野さんが掲げた演題だ。「ほぼ課題が変わっていないというのが、現地を見られた記者の皆さんの実感ではなかろうかと思う。これを基本的な論点として話したい」と切り出した。

 熊本地震から約10日が経過したにもかかわらず、支援物資の仕分けが滞っていた例を挙げた。スライドの写真では、飲み物などさまざまな種類の物資の入った段ボール箱が混在して倉庫に並べられていた。災害の起きていない平時は、こうした物資の配送をはじめ、住宅供給、福祉サービスを担うのは主に民間だ。これが災害時になると、慣れていない地方自治体、中でも市町村が担い手になる点に問題があると指摘した。「やったことのないことを、いきなりやらされるからできない。ここに問題の核心があると思う」。また、「ある地域にたまにしか起きない」という災害がもつ特性も、対応を難しくしているという。被災地で教訓やノウハウが得られても、それが次の災害への備えとして共有されにくい。

 市町村が災害対応を担う仕組みは、伊勢湾台風の被害を機に1961年に制定された災害対策基本法に基づいている。ただ、「当時は消防業務を参考として単純に設計されたのでは」と菅野さん。一方で現在の災害対応は、幅広い分野の総合行政だ。

 強調したのは「どんな規模の災害でも『市町村中心主義』というのは非合理だ」という点。災害対策基本法では、東日本大震災のような巨大災害でも、2日間で過ぎ去る台風でも市町村の責務だ。「普段でも人が足りない市町村で、全て対応するのは無理がある」。そこで災害の規模に応じて、都道府県や国が対応するよう役割分担を見直すべきだと提言した。市町村より大きな県レベルなら、民間企業と支援協定を事前に結ぶなどの対応が取りやすいのも利点だという。11月に発足する防災庁にも、専門家による「餅は餅屋」の災害対応を実現してほしいと期待した。


ゲスト / Guest

  • 菅野拓 / Taku SUGANO

    大阪公立大学准教授 / Associate Professor, Osaka Metropolitan University

研究テーマ:2026熊本地震

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