2026年09月17日 15:00 〜 16:30 9階会見場
「なぜ今、特別市なのか?」(2) 辻琢也・一橋大学名誉教授

会見メモ

行政学・地方自治論が専門の辻琢也・一橋大学名誉教授が「人口減少時代における都道府県の役割」と題して話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

人口減少に耐える自治の姿

舘野 真治 (日本経済新聞社政策報道ユニット経済・社会保障グループ 部次長)

 大都市改革の議論が再び活発になってきた。第34次地方制度調査会(首相の諮問機関)で新たな自治体のかたちとなる特別市がテーマとなっている。

 道府県から政令指定都市が独立する改革が広く話題になるのは初めてではない。2010年代前半の第30次の地制調でも俎上に上った。当時、大阪市を特別区に分割する大阪都構想が熱を帯び、大都市制度への関心が高まっていた。大阪維新の会の勢いを背景に都構想の制度づくりは議員立法で実を結んだ。その陰で特別市は法制化に至らなかった。

 今なぜ再び特別市なのか。辻琢也・一橋大学名誉教授は「人口減少に耐える行政制度の整備が過疎地でも首都圏でも重要になっている」と訴えた。秋田県や富山県などの会議に有識者として参加し、地方の現実も目の当たりにしてきた経験から「日本全体でどういう自治の姿を描いたらいいか考えるようにしている」と説明した。

 どの自治体も人口の自然減が大きくなっている。横浜市のような大都市も例外ではない。住民だけでなく、役所の職員も足りなくなっていく。誰が責任を持ってインフラの維持などにあたるのか。辻氏は「市町村と県の垣根を越えた一体化」が求められており、「その象徴的な姿が大都市の場合は特別市」と位置づけた。物価上昇でコストも重くなっており、一部事務組合のような緩やかな連携では合意形成が難しくなるとの見方も示した。

 「制度をつくることと移行することは別」と釘を刺すことも忘れなかった。大阪都構想も住民投票で2度にわたり否決され、実現していない。

 最後はそれぞれの地域の意思次第。「指定都市や都構想をにらみながら、もう一つの選択肢として特別市をつくることによって、豊かな議論をしていただきたい」と呼びかけた。


ゲスト / Guest

  • 辻琢也 / Takuya TSUJI

    一橋大学名誉教授 / professor emeritus, Hitotsubashi University

研究テーマ:なぜ今、特別市なのか?

研究会回数:2

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