会見リポート
2026年06月02日
16:00 〜 17:30
9階会見場
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(10) エネルギー危機の日本経済への影響と政策対応 木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト
会見メモ
イスラエルとアメリカによるイランへの軍事攻撃から3カ月。戦闘終結に向けた先行きはみえず、ホルムズ海峡の事実上閉鎖が続く。
元日銀審議委員で野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんが、「エネルギー危機の日本経済への影響と政策対応」と題し登壇。原油・ナフサの供給不足が経済に及ぼす影響やとるべき政策を中心に、トランプ関税、消費減税、日銀の金融政策と金融市場の展望を含め、日本経済の現状と今後の見通しについて話した。
司会 今井純子 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
ナフサ危機「需要側の政策必要」
伊藤 航介 (時事通信社経済部)
米国とイスラエルによるイラン攻撃から3カ月が経過した。報復措置としてイランが取ったホルムズ海峡の事実上の封鎖は、中東地域に大きく依存する日本の原油調達に重大な影響を与えている。
木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストは今回の事態を「令和のオイルショック」と呼ぶ。第1次オイルショックに比べ原油の価格上昇は抑えられているが、供給面の不安が、原油から精製され広範な石油化学製品の原料となるナフサに波及。複雑な石油化学製品のサプライチェーンの中で「企業が手元に原材料を持つために生産を減らすという予防的な行動を、川上から川下まで同様に取ることで、川下の生産がすごく減ってしまう」状況となっているのが特徴という。
高市政権は「日本全体として必要な量は確保されている」と繰り返し、企業に「前年同量」の発注を要請するとともに「買い占め」へのけん制を強めている。木内氏は、企業の予防的行動は「先行きも安定調達できるかという不安を反映したもので、経済合理性に基づいた行動」と指摘。「あまり批判されるようなものではない」との認識を示した。
その上で、政策対応として、①企業や家計への補助金②原油やナフサの供給確保③需要抑制策―の3点を指摘。「緩やかな節約を呼び掛けることで少しでも需要を抑え、企業の先行き不安が和らげば、日用品などの深刻な供給不足が緩和される可能性がある」とし、「政府は必要ないという立場を崩していないが、需要側の政策に着手することが重要なのではないか」と訴えた。
高市政権は「危機管理投資」を重要な成長戦略と位置付け、供給力の強化を目指している。そうであれば「経済合理性に基づく企業の予防的行動」を十分考慮した制度設計とリスクコミュニケーションが必要だと感じた。
ゲスト / Guest
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木内登英 / Takahide KIUCHI
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト
研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響
研究会回数:10
