会見リポート
2026年05月15日
14:30 〜 16:00
10階ホール
「高市現象と日本の政治」(8)境家史郎・東京大学教授
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会見リポート
「戦後」はなおもしぶとい
古賀 攻 (毎日新聞社客員編集委員)
自民党が2024年衆院選と25年参院選で2連敗したことにより終わったかに見えた「ネオ55年体制」が、今回の「高市圧勝」で復活したのかどうか。「ネオ」の命名者である境家教授の関心はそこに向かっている。
境家研究室が衆院選前後に独自に実施したオンライン調査に基づいて数々の分析結果が紹介された。
まず政治指導者の好感度で高市早苗氏はライバルの野田佳彦氏を2・5倍以上引き離し、本人がロールモデルとする安倍晋三氏よりも高かった。特に安倍氏と比べて中高年の女性からの支持が顕著であるため、高市支持層は保守的な男性とリベラルな女性が交じり合う「同床異夢」連合との見方が示された。
次に有権者のイデオロギーを「左派」「中間」「右派」に分けて比例代表の投票先を見ると、右派の自民投票割合は25年参院選の30・3%から26年衆院選は40・5%に伸びていた。逆に参政党など右派少数党への投票割合は減ったため、自民が今回の選挙で奪い返したと推定できる。一方、中道改革は一番のボリュームゾーンである「中間」層を狙ったはずだが、中間の投票先でも中道は自民の3分の1に満たなかった。
ここで「高市圧勝」後の政治体制がどうなるかという本題になる。ネオ55年体制は、自民の1党優位と保革対立で分極化・多弱化した野党の組み合わせで出来ていた。だから中道改革や共産党、れいわ新選組など「抵抗型野党」が今回大敗したことは、日本政治の「戦後の終わり」を意味するとの見方がある。
ただし境家教授は慎重だ。それは「戦後の政党間競争のデフォルト(初期設定)には憲法問題が埋め込まれている」との認識から来ている。会見では自民と野党の関係を「太陽と月」にたとえた。太陽である自民が強い時ほど野党も抵抗で輝けるからだ。抵抗を生む保革のイデオロギー対立はなお根強いと見ている。
ゲスト / Guest
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境家史郎 / Shiro SAKAIYA
東京大学大学院法学政治学研究科教授 / professor, Tokyo University
研究テーマ:高市現象と日本の政治
研究会回数:8
