2026年05月27日 16:30 〜 17:30 10階ホール
総会記念講演会 山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所名誉所長、京都大学iPS細胞研究財団理事長

会見メモ

2006年の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の論文発表から20年。京都大学iPS細胞研究所名誉所長で京都大学iPS細胞研究財団理事長も務める山中伸弥教授が「iPS細胞論文発表から20年~実用化への歩み~」をテーマに講演。これまでの研究・開発の道のりを振り返るとともに、iPA細胞を用いた薬や医療への応用、今後の展望などを話した。

自身が趣味とするマラソンにたとえ「ようやく中間地点。ここからが勝負。後半になるほど大変になる」。米中を含め競争が激しさを増す中で、「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)を中核とするオールジャパン体制を維持できるのかがポイントになる」と強調した。

 

司会 老川祥一 日本記者クラブ理事長(読売新聞社)


会見リポート

「マラソンでいうと中間点」

松田 省吾 (日本経済新聞社編集委員)

 山中さんらが2006年にiPS細胞を初めて報告してから20年。研究は進み、iPS細胞由来の2つの再生医療製品が26年3月に期限・条件付きの製造販売の承認を得た。それでも達成感に浸ることなく「マラソンでいうと中間地点。ここからが本当の勝負」と話すのは、これまでも厳しい道のりだったからだろう。

 iPS細胞の応用は創薬と再生医療が2本柱だ。創薬は遺伝性の病気を中心に臨床試験が進むものの実用化はまだない。一方、再生医療は15以上の臨床試験・臨床研究が進む。

 山中さんが特に力を入れてきたのは、高品質のiPS細胞をあらかじめ作って蓄えておき、再生医療用などに供給するストック事業だ。日本の応用研究の基盤となっている。品質の技術課題だけでなく、事業存続に欠かせない100人規模の雇用を守るのに苦労した。マラソン大会に出場して寄付を呼びかける姿は知れ渡り「この10年で日本の寄付文化はずいぶん変わった」と手応えを感じるほどだ。

 国際競争は激しく、米中が追い上げているという。日本の強みとして研究対象の病気の多さを挙げ、それを支える京都大学iPS細胞研究所を中心とするオールジャパン体制の重要性を強調した。日本発の医療を普及させるには変わらぬ国の支援が必要になる。山中さんは「VW(vision and work hard)」というモットーのもと「寄付金や人材集めが自分の役目」とオールジャパンを支える決意だ。ゲストブックには「初志貫徹」と記した。

 講演はいつもと同様にこれまで関わった人たちの功績をたたえ、感謝の言葉にあふれていた。寄付金をもとにiPS細胞研究財団を作り、ストック事業の雇用を守ることができたことを振り返り「ようやく長年の心配の一つがなくなった」と話すときの笑顔が印象的だった。


ゲスト / Guest

  • 山中伸弥 / Shinya YAMANAKA

    京都大学iPS細胞研究所名誉所長、京都大学iPS細胞研究財団理事長

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