会見リポート
2026年05月22日
11:00 〜 12:00
10階ホール
クリスチャン・ソンダース国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長代理 会見
会見メモ
2025年1月にイスラエルが同国内での国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律を施行してから約1年半。今年1月には東エルサレムにあるUNRWAの本部施設がイスラエルにより取り壊されるなど、UNRWAを取り巻く環境は厳しさを増す。
4月からUNRWAで事務局長代理を務めるクリスチャン・ソンダースさんが会見し、昨年10月の停戦後も戦闘、人道危機が続くパレスチナ自治区ガザをはじめ、ヨルダン、レバノン、シリアにおける活動の現状や、厳しさを増す財務・財政状況などについて説明。事業の継続に向け、日本をはじめ加盟国に対してさらなる資金援助を求めた。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 長井鞠子 サイマル・インターナショナル
会見リポート
組織の「中立性」を重視
石原 孝 (朝日新聞社国際報道部次長)
4月にUNRWAの事務局長代理に就いたばかりのソンダース氏は会見で、「停戦後もガザの状況は大きく変わっていない」と指摘し、パレスチナ自治区ガザをめぐる和平プロセスや復興の加速化を求めた。
イスラエルとイスラム組織ハマスが約2年にわたって続けた戦闘によって、ガザでは7万人以上が亡くなった。米国が仲介する形で2025年10月に停戦が結ばれたものの、散発的な衝突は続き、犠牲者も増えている。
ソンダース氏によると、約200万人の住民の多くが今もテント住まいを強いられ、飲料水や電気・ガスなどの必需品も不足したままになっているという。欧米諸国が国際援助の拠出を減額するなか、UNRWAの予算も減っているとし、「1億㌦が不足している」と明かした。
こうしたなかで、ソンダース氏は「日本が果たせる役割は大きい」と強調した。実際、パレスチナ住民の間では、広島や長崎に原子爆弾を投下されながら、復興や経済成長を遂げた日本にあこがれを持つ人は少なくない。
日本政府やNGOが長年にわたってガザなどを支援してきたことに加え、日本のアニメを見て興味を持つ若者もいる。イラン情勢を受けてガザへの関心が薄れるなかで、日本への期待は依然として高いと言える。
ソンダース氏は会見で、組織としての「中立性」をより重視する姿勢も見せた。イスラエル側が「UNRWAはハマスとの関係が近い」と主張し、UNRWAの国内での活動を禁止したことも背景にあるだろう。
子どもたちが使う教材などの内容を改めて見直し、スタッフへの研修も実施したといい、中立性に反すれば厳しく対処するとした。
イスラエル側が発信する偽情報にも対応していくと述べ、「職員がするべき仕事をして、それを見せることが偽情報への一番効果的な対策だと思う」と訴えた。
ゲスト / Guest
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クリスチャン・ソンダース / Christian Saunders
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長代理 / Commissioner-General ad interim of the United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East
