2026年05月08日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(9) ホルムズ海峡封鎖とエネルギー供給の課題 小山堅・日本エネルギー経済研究所専務理事

会見メモ

イスラエルと米国がイランに攻撃をはじめてから2カ月あまり。

世界の石油とLNG(液化天然ガス)の供給量の2割が通る大動脈であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、国際エネルギー史上例をみない規模の供給途絶状態になった。

国際石油・エネルギー情勢の分析やエネルギー安全保障などを専門とする小山堅・日本エネルギー経済研究所専務理事が、国際エネルギー市場、石油製品、エネルギー地政学への影響などについて解説するとともに、世界の動き、日本としてどう対応すべきなのかといった点について話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

※ゲストの希望によりYouTubeでのアーカイブ配信は行いません。


会見リポート

ホルムズ海峡封鎖「アジアにとって深刻な危機」

山口 智 (毎日新聞社経済部)

 米国とイスラエルから攻撃を受けたイランは、ホルムズ海峡の事実上の封鎖や周辺湾岸諸国のエネルギーインフラ施設への攻撃に踏み切った。原油価格を高騰させて国際社会に圧力を強める「非対称戦略」で、小山堅・日本エネルギー経済研究所専務理事は「イランにとっては生き残りをかけた戦争。捨て身の攻撃で、中東における常識が一気に覆った」と今回の特異性を指摘した。

 ホルムズ海峡は世界の石油とLNG(液化天然ガス)の供給量の2割が通る大動脈だ。影響は全世界に及ぶが、小山氏はとりわけアジアにとっての危機だと強調する。地理的な近さから中東産原油の依存度が高い一方、備蓄が少ない国が多いからだ。「エネルギー価格の上昇は所得が相対的に低い国や階層ほどダメージが大きく、逆進性がある」と語る。

 アジアではエネルギー転換の流れの中で、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの導入が進んでいる。中東危機を受けてエネルギーの自立のために「脱中東」を進めてさらに導入を加速させた場合、「(安価な)中国製の脱炭素製品が世界に浸透していき、クリーンエネルギー分野の中国依存を高めていくことになるのではないか」と述べた。

 さらに小山氏は、「アジアでは手ごろな価格で手に入る石炭(火力)の活用も再び注目されるだろう」と指摘。アジアのエネルギー構成の将来にどのような影響を与えるかも注視すべきとの見方を示した。

 一方、日本でも原油調達の多角化によりエネルギー安定供給のために追加的な投資が必要になることが想定される。小山氏は「日本が厳しいエネルギー安全保障環境を生き延びていくために、『脱中東』の要素も含めた新しい政策が必要だ。民間だけに任せていては到底解決できない。政府が全面に出て対策をとらないといけない」と語った。


ゲスト / Guest

  • 小山堅 / Ken KOYAMA

    日本エネルギー経済研究所専務理事 / PhD Senior Managing Director, The Institute of Energy Economics

研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響

研究会回数:9

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