2026年06月10日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「どうなる成年後見」(2)住田敦子・尾張東部権利擁護支援センター「あすライツ」センター長

会見メモ

尾張東部権利擁護支援センター(通称「あすライツ」)は、愛知県内の6市町(瀬戸市、尾張旭市、豊明市、日進市、長久手市、東郷町)が共同で設置した法人。同センターでは、法律上の制約がある中で、関係団体と協議しふさわしい人を選ぶ受任者調整や、一定の法律行為を終えたら専門職後見人に退いてもらう適時交代を導入するなど、利用しやすい制度へと工夫してきた。

「あすライツ」で2013年からセンター長を務める住田敦子さんが、現行制度の中で現場で何が起き、どう対応してきたのか、中核機関の役割や、補助制度に対する課題と期待などについて話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

「失敗する権利」もある

酒匂 純子 (西日本新聞社報道センター)

 「どうなる成年後見」シリーズの第2弾は「現場のリアル」というタイトル通り、最前線で奮闘する住田敦子さんの説得力あるエピソードで満載だった。自分だったら、家族だったら、と考えさせられた。

 2000年にスタートした成年後見制度は大きな転換点にある。今国会で法改正の審議が進んでいる。

 現制度は使い勝手が悪い。途中でやめられない、交代できない、権利制限の範囲が広すぎる。本人の意思が十分に尊重されず、後見人の権限が強すぎると指摘されてきた。改正案は、途中終了など柔軟な運用を可能とする。

 ただ、本当に本人の意思を尊重した対応ができるのか。住田さんの話を聞き、権利擁護に対する私たちの意識をどう変えていくかが問われていると痛感した。

 例えば支援者は、本人の利益や保護、安全を重視し、よかれと思って成年後見を検討する。しかし本人からすれば、個人の自由や尊厳、どう生きていきたいかという思いがある。「この辺りのところがどうしても支援者の思いに偏りがちになってくる」と住田さんは指摘する。

 「失敗する権利」にまつわる話が印象深かった。本人に同意能力がある場合、本人が同意しなければ、補助人や保佐人は財産管理などの代理権を与えられない。「だまされているのでは…」と心配して忠告しても、本人は誰からもじゃまされずにしたいことをする権利がある。支援者は、失敗した時に自己責任と見なさず「残念だったね」「どうしますか」と寄り添うことが大事なのだ。

 住田さんが言うように、私たちは成年後見制度に「過剰な期待」をして、丸投げしてきたのかもしれない。他の制度や事業も使い、一人一人の意思決定を地域全体で支えていく覚悟や工夫が必要なのだろう。


ゲスト / Guest

  • 住田敦子 / Atsuko SUMITA

    尾張東部権利擁護支援センター「あすライツ」センター長

研究テーマ:どうなる成年後見

研究会回数:2

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