会見リポート
2026年06月05日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「人口減少時代を生きる」(11) 今井悠介・チャンス・フォー・チルドレン代表理事
会見メモ
スポーツや音楽などの習い事や旅行といった「体験」は子どもの成長に大切な要素である一方で、家庭の経済力に左右されやすく、体験の少ない子はそうでない子に比べ、自己肯定感が低い傾向にあるということがわかってきている。
「体験格差」の解消に向けた活動を展開するチャンス・フォー・チルドレンの今井悠介代表理事が、「多様な学び・体験をすべての子どもに」と題し登壇。体験格差の実態、解消に向けた地域の取り組みとその重要性について話した。
司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)
会見リポート
子どもが「体験」を選べる社会を
染木 彩 (読売新聞社教育部)
家庭環境による子ども時代の「体験格差」が近年注目されている。格差解消を目指す公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」の今井悠介代表理事は「体験は決して『ぜいたく品』ではない。保障されるべき子どもの権利の一つだ」と主張する。
「息子が突然正座で泣きながら『サッカーがしたいです』と言ったんです」。今井氏が紹介したあるシングルマザーの言葉が、貧困家庭の子ども達にとって、いかに「体験」のハードルが高いかを物語っている。同法人が2022年に行った調査では、世帯年収300万円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、直近1年間の体験が「何もない」と答えたという。そのうちの2人に1人は、親自身も子ども時代の体験が「ゼロ」で、貧困の連鎖が起きていた。
同法人は2011年の設立以来、経済的困難を抱える家庭の子どもにクーポンを発行し、提携企業のサービスを受けられる仕組みで支援してきた。「子ども自身がやりたいことに使える」ことが特徴で、延べ1万人の子どもたちが利用してきたが、9割以上が受験期の学習目的での利用だった。そこで、所得制限を設けずに、1人5000円分のクーポンを配布する取り組みを開始。墨田区の場合、ピアノ教室や地域のお祭りなど街全体に300種類以上の活動を用意し、「やりたいこと」を見つけられる機会を増やした。
今井氏は、「特産品や名所などを知らないが故に、旅行先でも自宅と同じようにゲームばかりしていた子どもがいた。経験がなければ、選択肢が思い浮かばない。親に遠慮して我慢する子も多い。貧困によって、『選べないこと』が問題だ」と警鐘を鳴らす。銭湯の掃除や商店街でのこども縁日など、参加費用の負担が大きくなくても、体験機会は作ることができる。子どもにとっての「必需品」は、最低限の衣食住だけでないことを世間は認識していくべきだろう。
ゲスト / Guest
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今井悠介 / Yusuke IMAI
チャンス・フォー・チルドレン代表理事
研究テーマ:人口減少時代を生きる
研究会回数:11
