会見リポート
2026年05月14日
11:30 〜 13:00
9階会見場
「高市現象と日本の政治」(7) 先崎彰容・社会構想大学院大学教授
会見メモ
日本思想史が専門の先崎彰容・社会構想大学院大学教授が、石丸現象から参政党の躍進、高市政権誕生までの背景について、反グローバル主義や推し活的な政治行動はグローバルに起きている現象との見方を軸に、分析を示した。
司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ放送網)
会見リポート
加速する「権威の砂粒化」
城本 勝 (NHK出身)
「政治思想史研究で得た知見をメスとして時代を診断している」
会見の冒頭、そう自己紹介した先崎氏。その言葉通りに我々には依然「謎が多い」高市現象を生んだ社会状況を鮮やかに解剖して見せた。
2024年の東京都知事選の「石丸伸二現象」や掲示板ジャックが問題となった「NHK党の乱」。共通するのは既存の真面目な政治家や政策を冷笑する「揶揄精神」(N党の法を逸脱する行動は『政治的テロ』と断じたが)であり、30代から50代の世代を中心に、格差や閉塞感に不満を抱く人々の心に刺さったのだと先崎氏は分析する。
そして、その閉塞感が自分に代わって自己実現をしてくれるアイドルを推すように身近な候補を応援する「推し活選挙」となって現れ、ついには「関西弁を喋るコメディアンみたいな女性」を押し上げ、高市圧勝を生んだのだと。
先崎氏のメスは日本にとどまらない。アメリカの新しい保守主義が台頭した背景にグローバリズムと市場原理への反動があり、日本にも共通する。伝統的な権威が否定され、個人中心にバラバラになる「権威の砂粒化」が広がる。SNSの発達で「1億総発信者」の状況がさらに砂粒化を加速させている。そしてこうした状況が、「カリスマ的指導者の登場」や「テロリズムの発生」といった危機を生む恐れがあると先崎氏は警鐘を鳴らした。
そして先崎氏は首相の内面にも容赦なく切り込んだ。
「彼女のなかの保守は観念的で危険だ。中国をめぐる岡田克也氏に対する答弁もそうだが、その場の議論に勝とうとして長期的な国益を損ねた。同じ右派でも安倍晋三元首相にあったバランス感覚が欠けている。短絡的に留飲を下げることを求める世論に迎合するようなトップにならないでほしい」
日本社会の閉塞感が生んだ高市現象。なお緊張感を持って見ていく必要があるようだ。
ゲスト / Guest
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先崎彰容 / Akinaka SENZAKI
社会構想大学院大学教授 / professor, The Graduate School of Social Design
研究テーマ:高市現象と日本の政治
研究会回数:7
