2026年05月13日 11:00 〜 11:45 10階ホール
マティアス・コーマン 経済協力開発機構(OECD)事務総長 会見

会見メモ

経済協力開発機構(OECD)は13日、2026年版「対日経済審査報告書」を公表した。

マティアス・コーマン事務総長が会見し、概要を説明。質疑応答には、ダグラス・サザーランド経済総局国別調査課長、ムゲ・マクゴーワン経済総局国別調査課次長も登壇した。

 

司会 奥村茂三郎 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)

通訳 長井鞠子/富永恵子(いずれもサイマル・インターナショナル)

 

The video in the English version is here. 


会見リポート

消費税率引き上げを提言

中西 梓 (読売新聞社経済部)

 経済協力開発機構(OECD)のマティアス・コーマン事務総長は、日本経済の分析・提言をまとめた「対日経済審査報告書」の公表に合わせて来日した。高市政権の経済財政運営に対する直言も多く、タイムリーな会見内容となった。

 高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、単年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化という従来の財政健全化目標を撤回する方針を示している。会見でコーマン事務総長は「日本の公的債務残高は高い水準にある。金利は上昇しており、利払いコストも上がる。プライマリーバランスの黒字化が必要だ」と強調し、財政健全化を進めるよう求めた。

 消費税率に関する発言にも注目が集まった。コーマン事務総長は、OECD加盟国における付加価値税の平均税率は19%にのぼる一方、日本の消費税率は10%にとどまり、OECD加盟国内で最低水準にあると指摘。「時間をかけて税率を上げていくことが必要だ」と述べた。

 政府は現在、飲食料品の消費税率を時限的にゼロに引き下げる方向で議論を進めている。この方針についてコーマン事務総長は、「ゼロにするのはあまりにもコストがかかり、荒っぽい対応策だ。高所得層にばかりメリットがある」と批判。低所得層に対象を絞った給付を実施するよう促した。

 会見では消費税率引き上げのほか、年金の支給開始年齢引き上げや労働市場の改革などにも言及があった。これまで発行されたOECDの過去の報告書でも、日本政府への指摘は一貫している。日本が長年にわたって課題を直視せず、対応の先送りを続けてきた現状を再認識させられた。

 高い支持率を保つ高市政権は、不人気政策にも着手し、思い切った改革を進める潜在力があるはずだ。国際機関からの忠告に、謙虚に耳を傾けてほしい。


ゲスト / Guest

  • マティアス・コーマン / Mathias Cormann

    経済協力開発機構(OECD)事務総長 / Secretary-General of the OECD

  • ダグラス・サザーランド / Douglas Sutherland

    経済協力開発機構(OECD)経済総局国別調査課長 / Head of Country Studies Division, OECD

  • ムゲ・マクゴーワン / Muge Adalet McGowen

    経済総局国別調査課次長 / Deputy Head of Country Studies Division, OECD

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