2026年02月13日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「トランプ2.0」(15)森聡・慶應義塾大学教授

会見メモ

慶應義塾大学教授で、中曽根平和研究所上席研究員の森聡さんが登壇。米国が公表した国家安全保障戦略(NSS)と国家防衛戦略(NDS)を踏まえ、第2期トランプ政権の対外政策や、日米同盟の今後を考える上でのポイントについて詳説した。 

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)


会見リポート

日米同盟の「再定義」必要

永澤 毅 (日本経済新聞社論説委員兼編集委員)

 自由貿易を推進し、同盟国と協調して紛争を抑止する。第2次トランプ米政権はこうした戦後の国際秩序の柱を壊しつつある。こんな米国にどう向き合うべきかを米国研究の第一人者が読み解いた。

 森聡氏は現下の国際情勢が「中国にとって理想的な展開になりつつある」と指摘する。米国が中国との取引を志向し、欧州は経済関係の強化を目的に中国に近づき、ロシアも中国への経済的な依存を強める。中国にしてみれば、インド太平洋で日本や台湾などに圧力をかけやすい環境が生まれつつある。

 トランプ政権にとって同盟国がどう映っているかの分析は興味深い。貿易不均衡の是正への貢献など経済的利益が大きく、安保リスクが小さい国々が「模範的な同盟国(Model Allies)」に位置付けられる。日本が模範的な同盟国にあたるかどうかに関して、森氏は「米国は査定中だ」との見方を示した。

 衆院選で大勝した高市早苗首相は3月19日に訪米し、トランプ氏との会談に臨む。森氏は日本の経済的、戦略的価値を高める対米外交が必要として「対中抑止のコマに終わらず、米国にとって日本が重要と認識してもらうのが重要だ」と主張した。

 ベネズエラ攻撃などをみれば、もはや米国の変質は明白である。「それでも日本はインド太平洋に不可欠な米国と付き合っていかないといけない」(森氏)。では、どうすべきか。高市政権が年内の改定をめざす安保関連3文書がその試金石になると森氏はみる。

 新しい形式のもとで日米両国が互いに重要だと思える関係を作って確認する。これに失敗すると対中接近や核武装といった主張が勢いづき、国論が分裂して安保政策が迷走しかねない――。

 森氏はこんな危機感をあらわにしつつ「世論の支持が得られるような戦略をまとめるのが最大の課題だ。日米同盟の再定義みたいなものをきちんとやる必要がある」と訴えた。


ゲスト / Guest

  • 森聡 / Satoru MORI

    慶應義塾大学教授 / professor, Keio University

研究テーマ:トランプ2.0

研究会回数:15

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