会見リポート
2026年03月06日
16:00 〜 17:30
10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(1) 坂梨祥・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長
会見メモ
イスラエルとアメリカがイランへの大規模軍事攻撃に踏み切ってから1週間を迎えるのを前に現代イラン政治を専門とする日本エネルギー経済研究所中東研究センター長の坂梨祥さんが登壇。イスラエルと米による共同軍事作戦の背景やイランによる反撃の狙い、今後考えうるシナリオや紛争長期化の可能性について解説した。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
「現体制は依然として機能」
真野 啓太 (朝日新聞社国際報道部)
米国とイスラエルによるイランへの攻撃は、最高指導者ハメネイ師の殺害という衝撃的な展開で始まった。現代イラン政治が専門の坂梨祥氏は、攻撃初日からテレビや新聞で解説を続けてきた。本会見では7日目時点でのイランの体制の分析をもとに、紛争の行方を占った。
イランの体制が軍事・経済・政治を含む「すべての側面で弱体化」する中での攻撃だった、と坂梨氏は指摘した。ミサイル施設は昨年の米イスラエルの攻撃で破壊。第2次トランプ政権が経済制裁を厳格化する中、国内では抗議デモの鎮圧で多数の死者を出し、統治の正統性が揺らいでいた、という。
米イスラエルによる攻撃へのイランの対応は、体制の存続をかけた「死にものぐるいの反撃」だと坂梨氏。関係改善を進めてきた湾岸諸国にもミサイルやドローンを発射。米軍基地のみならず、空港や商業施設にも被害が出た。安価な兵器で、高コストな迎撃システムの消耗を狙う「非対称戦術」だと坂梨氏は分析した。
紛争が長期化する可能性も排除できないが、「誰も長期化を望んでいない」ことから、米国の早期離脱か、イランの兵器の払底により、幕引きになるシナリオが有力だとした。
イランの体制変革にも注目が集まるが、現状では「現体制は維持され、機能していることがさまざまな形で示されている」と指摘。ハメネイ師を含む軍幹部が殺害され、指揮権の分散がみられるものの、最高指導者を代行する「暫定指導評議会」が組織の立て直しを図っているという。
後任の最高指導者が決まっても、当面はハメネイ師のような指導力は見込めず、「弱体化したイランがそこに残る」。現体制に代わる組織はなく、体制崩壊は内戦や分離独立を招くおそれがあるという。いずれの場合もイスラエルに有利な形で中東の秩序が再編される、との見通しを示した。
ゲスト / Guest
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坂梨祥 / Sachi SAKANASHI
日本エネルギー経済研究所中東研究センター長
研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響
研究会回数:1
