会見リポート
2026年03月03日
13:30 〜 14:45
10階ホール
2025年ノーベル賞受賞 北川進・京都大学特別教授、坂口志文・大阪大学特別栄誉教授 会見
会見メモ
2025年のノーベル化学賞を受賞した北川進・京都大学特別教授と、生理学・医学賞を受賞した坂口志文・大阪大学特別栄誉教授が登壇。北川さんは「見えないものを設計するMOFが変えるエネルギー・気候・医療」を、坂口さんは「制御性T細胞と新しい免疫医療」をテーマに自らの研究内容と今後の展開などについて説明。その後、日本から独創的な発明・発見が生まれてくるために何が必要なのか、現在の科学政策の在り方などについての質問に応じた。
アメリカで研究生活をおくっていた際に民間からのサポートを受けた坂口さんは、「研究は一つの文化。民間が目に見える形で研究をサポートすることが文化として根付く社会になれば」。北川さんは現在の研究環境について「雑用が多く、それぞれをカバーしあえる仕組みもない」とし、研究をサポートする仕組みが必要との考えを強調した。
司会 行方史郎 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
会見リポート
基礎研究には時間がかかる
村川 実由紀 (共同通信社科学部)
2025年のノーベル化学賞を受賞した北川進・京都大特別教授と、生理学・医学賞を受賞した坂口志文・大阪大特別栄誉教授がそろって登場した。昨年10月の受賞決定後、講演依頼が殺到。授賞式のためのスウェーデン滞在など多忙なスケジュールをこなした北川さんは「この数カ月は異常」、坂口さんも「しんどいことだった」と振り返った。
冒頭でそれぞれ研究を紹介。北川さんはエネルギーを生み出すのに気体を活用する時代が来たとして、自身が開発した金属有機構造体(MOF)の有用性を強調した。
坂口さんは花粉症の話題に触れ、免疫学の世界にいざなった。携わった「制御性T細胞」の研究は自己免疫疾患やアレルギー、がんの治療につながると期待されている。
2人の主要な研究成果は30年ほど前のものだ。北川さんは基礎研究が結果につながるまで「10年、20年と時間がかかる」と説明する。科学研究への金銭的支援を増やす国の方針を歓迎しつつ、「今まで少なすぎた。政府はファンディングの仕方にもう少し切り込んで制度設計していただければ」と話した。
坂口さんは「研究は歩留まりが悪いもの」とし「地方大学は疲弊している。選択と集中で一部の大学にサポートが集中するのは考え直すべきではないか」と警鐘を鳴らした。
超一流の研究者に会える機会とあり、会場からは「花粉症を克服できるのか」「がんは軽い病気になるのか」「初等教育についてどう思うか」といった質問が相次いだ。
これからの人生について北川さんは「若い人に貢献したい。(研究では)だれもが不可能だと思うようなことに挑戦したい」と述べた。坂口さんは研究成果の臨床応用を進めるとし「サイエンスには重要なことをすれば公平に人が認め称賛する文化がある。若い人が興味を持ってくれればうれしい」とほほ笑んだ。
ゲスト / Guest
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北川進 / Susumu KITAGAWA
2025年ノーベル化学賞受賞者、京都大学理事・副学長、同高等研究院特別教授
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坂口志文 / Shimon SAKAGUCHI
2025年ノーベル生理学・医学賞受賞者、大阪大学特別栄誉教授、同免疫学フロンティア研究センター実験免疫学特任教授
