2026年02月03日 13:00 〜 14:30 9階会見場
「人口減少時代を生きる」(8) 日本の移民政策-何が欠落してきたのか? 小井土彰宏・亜細亜大学教授

会見メモ

国際社会学、国際移民論、移民政策の国際比較などを主な研究領域とする亜細亜大学教授で一橋大学名誉教授の小井土彰宏さんが「日本の移民政策-何が欠落してきたのか?」と題して登壇。外国人の受け入れをどのように拡大してきたのか、この間の流れを整理するとともに、問題の所在と今後の在り方などについて話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

「脱臼状態」の外国人政策、人材流出招く

覧具 雄人 (日本経済新聞社政策報道ユニット部次長)

 昨年の参院選を契機に、外国人受け入れが国政の主要争点の一つに浮上した。政府は規制強化を打ち出すが、人口減少下で外国人をどう受け入れ、どんな社会を築くのかという将来像は見えない。日本記者クラブで会見した亜細亜大学の小井土彰宏教授は日本の移民政策議論には「欠落」があったと指摘する。

 日本政府は長年、「移民政策は取らない」と説明してきた。しかし現実には、日系人、技能実習生、留学生、高度人材、看護・介護分野のEPA人材など、複数の制度を通じて外国人の受け入れを拡大してきた。小井土氏は制度が個別に積み重ねられる一方、全体を統合する視点や司令塔が欠けており「脱臼状態」だと分析する。

 議論が深まらない背景として、一時的に盛り上がっても時間がたつと忘却してしまう「知の不経済」と、「受け入れるか、受け入れないか」という二項対立に陥りがちな政治・メディアの構図を挙げた。近年は選挙の争点として「外国人問題」が前面に出るが、土地所有やオーバーツーリズム、マナー問題など、本来は移民政策と直接関係のない論点まで一括りにされがちだとした。

 とりわけ強調したのが「スキル(技能)」概念の欠落だ。1989年の入管法改正では「単純労働者を認めない」とされたが、何を技能とみなすのかは曖昧なままだった。外国人が日本の現場で培った技能が十分に評価されず、日本で働いた後により賃金水準の高いオーストラリアやニュージーランドなどへ移動する現象が起きているという。

 小井土氏は外国人をコントロールするという発想ではなく、国際移動する人々の視点に立った政策立案が必要だと訴えた。日本がどんな経済構造をつくり、どんなスキルが必要なのか議論を深めたうえで労働者を正当に評価する仕組みの構築が不可欠だと強調した。


ゲスト / Guest

  • 小井土彰宏 / Akihiro KOIDO

    亜細亜大学教授 / Professor, Asia University

研究テーマ:人口減少時代を生きる

研究会回数:8

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