会見リポート
2026年02月13日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「2026年経済展望 激動の世界と日本を読む」(4) 宮本弘暁・一橋大学教授
会見メモ
国際通貨基金(IMF)エコノミストを務めた経験もある宮本弘暁・一橋大学経済研究所教授が「日本経済は生まれ変わるのか 転換期の現状と成長への道」の演題で、日本経済の現状と課題、成長への方策について話した。
司会 奥村茂三郎 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
会見リポート
成長の鍵握る労働市場改革
石田 剛 (西日本新聞社論説委員)
人口減少に日本社会はどう対応するべきか。労働経済学が専門の宮本氏は、人口減少が進んでも「国民が豊かで安心できる社会をつくることは可能だ」と明言した。
日本経済が直面する最大の課題は人口構造の変化だと訴えた。現在3割ほどの高齢者の割合は2070年には4割近くまで増えるとの予測もある。高齢化による労働供給力や生産性の低下が経済の長期停滞を招く恐れがある。
経済を衰退させない鍵は、労働の在り方の変革にあると説く。
「労働市場改革が一丁目一番地」とし、流動性を高める必要性を強調した。労働者の勤続年数が長く、流動性が低い国は賃金の伸びや生産性が低い傾向があるという。日本がまさにこの状態だ。
労働移動がしやすくなれば「適材適所」の実現性が高まり、賃金や生産性は改善する。成長分野に労働力が移ることで経済の新陳代謝が進み、活力を生むと説明した。
高齢化社会という面でのメリットにも触れた。「働く期間が長くなると、変化に直面する回数も増える。その都度、柔軟に働き方をアップデートできないと困る。そのためにも流動的な労働市場が必要になる」
当然、こうした変革には雇用の不安定化への懸念が上がる。必要な環境整備として、解雇ルールの明確化や同一労働同一賃金の徹底、労働者のスキル向上支援などを挙げた。
ただ、実現は容易ではないだろう。解雇規制一つとっても、24年の自民党総裁選で規制緩和を掲げた小泉進次郎氏が失速した一因になったのは記憶に新しい。
高市早苗政権は労働規制の見直しも検討する方針だ。宮本氏が会見の最後に語った「次の20年、30年にこの国が明るい未来を持てるような大改革」という視点で改革に取り組む姿勢はあるのだろうか。
ゲスト / Guest
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宮本弘暁 / HiroakI MIYAMOTO
一橋大学経済研究所教授 / professor, Hitotsubashi University
研究テーマ:2026年経済展望 激動の世界と日本を読む
研究会回数:4
