会見リポート
2026年02月24日
14:30 〜 16:00
9階会見場
「世界史的な分水嶺に立つ国際社会と我が国の安全保障」吉田圭秀・前統合幕僚長
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会見リポート
米中露の「大国間政治」を防げ
石井 利尚 (読売新聞社調査研究本部)
「力と利益を優先するパワーポリティクスの世界に入ったと言わざるを得ない」。会見日の24日はロシアのウクライナ侵攻から4年。吉田氏は「地域紛争がグローバル化した。(侵攻の)2022年が歴史的な変換点だった」とし、第2次世界大戦前の経済から、戦後の国際政治まで語った。
吉田氏の危機感は、米国の「19世紀外交」などで「米中露の大国間で勢力圏を決める『大国間政治』に変化するかの分水嶺にたっている」という点だ。米国を「いかにインド太平洋・東アジアにつなぎとめられるかだ」と力を込める。その役割を担いうるのが日米同盟だと続ける。
「インド太平洋地域の平和と安定の礎の同盟は、国際秩序維持のアンカー(錨)でもある」。自衛隊と米軍の信頼関係を「同盟の錨」と表現する吉田氏の持論は、日米同盟が米国を「西半球」に追いやらず、「大国間政治」に変化させない錨であり、米中の核戦力均衡が想定される30年代、東アジアで「冷戦を熱戦にさせない」錨になるというものだ。
統合幕僚長時代、海外の100人以上のカウンターパートと会談する防衛外交を実践。対露「最前線国家」フィンランドやバルト3国では「ハイブリッド戦が既に起きている」と指摘する吉田氏。クアッドなどミニラテラルな枠組みを重ね合わせ、経済安全保障面では米国以外の多くの国々との「連結性を深め」「戦略的自律性を高める」ことなどを日本の対応策に挙げた。
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「米国の中東への過剰な関与で、中露は力による現状変更を試みやすくなる」。吉田氏がそう語った会見から4日後、米国はイランを攻撃。「力優先」の世界にまた一歩突き進む。米国が再び混乱の中東にはまりこむのか。それを望むのは中国だ。日本の安保にとっての「分水嶺」になる。
ゲスト / Guest
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吉田圭秀 / Yoshihide YOSHIDA
前統合幕僚長
研究テーマ:世界史的な分水嶺に立つ国際社会と我が国の安全保障
