2026年02月17日 13:00 〜 14:30 9階会見場
「人口減少時代を生きる」(9) キャリア官僚はなぜ辞めるのか~有為な人材を生かす回転ドア社会実現を 吉井弘和・VOLVE代表取締役、慶應義塾大学准教授

会見メモ

マッキンゼー・アンド・カンパニー、厚生労働省での勤務を経て、霞が関から民間企業、民間企業から霞が関への越境転職支援を行うVOLVE株式会社を創業、代表取締役を務める。「キャリア官僚はなぜ辞めるのか~有為な人材を生かす回転ドア社会実現を」をテーマに登壇し、キャリア官僚の離職の背景や有為な人材を生かすために中央官庁や民間企業に求められることなどについて話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

転職「当たり前」の時代、霞が関も変化を

梅垣 宜央 (時事通信社編集局ニュースセンターiJAMP編成部)

 若手キャリア官僚の離職増加が目立っている。国会対応に象徴される長時間労働の常態化や、それに見合う給与を得られないことから「ブラック職場」とやゆされる霞が関。人口減少を背景に労働市場では売り手優位が鮮明となり、若者の間では転職をポジティブに捉える風潮が強まっている。大企業の大卒離職者は「3年で3割前後」で推移。これに比べれば、キャリア官僚の3年未満の退職率は4~5%と低水準だが、10年で2割は辞職するとされ、増加傾向は無視できない。

 官民をまたぐ転職を支援するVOLVE代表取締役で慶大准教授の吉井弘和氏は「単にブラックだから辞める」という話ではないと指摘。その上で「リボルビング型のキャリアのトレンドは現実のものとなっている。それを前提とした議論が必要だ」との見方を示す。

 社会課題解決を経営方針として打ち出す民間企業が増え、「社会貢献と言えば公務組織」という従来の官の優位性は相対化されつつある。年功序列色の強かった日本企業でも、実力主義が浸透し、働き方改革の取り組みも役所以上に進む例が少なくない。

 過酷な労働環境下で官僚自身は「能力・スキルを蓄積できていない」「成長の実感がない」と感じているとの指摘がある。しかし、吉井氏は政治家や業界団体などさまざまなステークホルダーと合意形成にこぎ着ける「調整力」など、霞が関で培われる能力は役所の外でも通用するのが魅力だと強調する。

 吉井氏自身、大学卒業後に大手コンサルに入社。海外留学を経て厚生労働省に転じ、その後VOLVEを創業した。金融や商社など「一流企業」に比べて低い報酬水準、転職が不利に働きかねない年次主義、OJTに依存しがちな人材育成制度―。いったん外に出た「出戻り」を阻む壁はなお高く、リボルビング型のキャリアを体現する吉井氏は、その経験から霞が関の変化の必要性を強く訴えている。


ゲスト / Guest

  • 吉井弘和 / Hirokazu YOSHII

    VOLVE代表取締役、慶應義塾大学准教授

研究テーマ:人口減少時代を生きる

研究会回数:9

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