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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。
■令和阿房列車で行こう
乾 正人 (産経新聞社特別記者、上席論説委員、コラムニスト)
▼ただただ汽車に乗って旅
前回、この欄で「自分の本を宣伝するのは、本当に恥ずかしいが、これまで出した4冊のうちで一番面白い」と書かせていただいたが、実は5冊目のこの本が一番面白いらしい。
内田百閒にあこがれる還暦男が、サンケイ君をお供にただただ汽車に乗って旅をする、というそれだけのお話。でも知人や親戚は「今度の本は(前のとは違って)、面白い」と言う。本人は、政治記者が本業だと思っていたのだが、そろそろ商売替えを考えてみるか。
飛鳥新社 / 1320円 / ISBN 4864109702
■壁を壊した男 1993年の小沢一郎
城本 勝(NHK出身)
▼「壊し屋小沢」原点の権力闘争
1993年の細川連立政権の成立から30年。「小選挙区制で自民党は分裂、政権交代と政界再編はセットで実現」と小沢氏は予言したが、自民党は連立で生き延び再び長期政権を築いた。政権交代は実現したが政界再編はまだ霧の中だ。55年体制の壁を壊した小沢氏の闘いは、壮大な失敗に終わるのか。それとも・・・。当時の取材メモを基に小沢番記者として見つめた永田町の熱い闘いをたどり直した。
小学館 / 1980円 / ISBN 4093891273
■日本財団は、いったい何をしているのか 第八巻・日系人と日本
鳥海 美朗(産経新聞出身)
▼日系人と強固なスクラムを
今回で第八巻を数える日本財団のシリーズ本は、世界中に計約400万人が居住すると推定される日系人を対象にした支援プロジェクトをテーマにしている。本書に一貫しているのは、日本はもっと日系人と結束すべきだという論説である。いち早く読み切った先輩の元記者は感想文を送ってくれた。「日系移民に対する最大の支援とは、日本国自身が世界から尊敬されるような立派な国になることだ」。その通りだと思う。
木楽舎 / 1980円 / ISBN 4863241712
■戦時下のウクライナを歩く
岡野 直(朝日新聞出身)
▼市民から侵略の実態をきく
ウクライナの市民生活は、ロシアの侵略でどう変わってしまったのか。どんな心の傷をウクライナ人は受けているのか。ミサイル攻撃などに苦しむ市民を訪ね、インタビューをしたルポルタージュです。
南東部の港町マリウポリは建物の9割がロシア軍により破壊されてしまったとも言われます。その過程を聞き取り調査したほか、ロシア軍の占領統治下で起きているウクライナ人の拉致や尋問・拷問の実態についても尋ねました。
光文社 / 946円 / ISBN 4334046711
■鉄道と愛国 中国・アジア3万キロを列車で旅して考えた
𠮷岡 桂子(朝日新聞社記者)
▼新幹線が映す日中とアジアの未来
戦前の弾丸列車にルーツを持つ新幹線を通して日中関係を追いかけるうち、アジアに生きる日本の未来を問う旅になりました。戦後日本の発展の象徴となった新幹線には、日本社会の「熱」が宿ります。旧運輸省担当だった1995年から取材してきたテーマを、北京、上海やバンコク駐在の機会にも恵まれ約20カ国で列車に乗り、人に出会って考えました。ルポに加えて、政治家、政策当局者、JR東海や川崎重工業の首脳ら多くの当事者へのインタビュー、史料と格闘しました。ちなみに、筆者は乗り鉄です。
岩波書店 / 2860円 / ISBN 400061603X
■昭和人の棲家 報道局長回想録
平本 和生(TBSテレビ出身)
▼偶然に残った資料から
新卒入社から半世紀TBSに在職した。三菱重工本社爆破事件取材で惨敗からの記者スタート。田中番記者、ベルリンの壁崩壊、プラザ合意、9・11、イラク戦争など取材資料を整理してみた。経営の立場では、楽天との委任状争奪戦もあり、実に多くの方々の支援を得た。「昭和人の棲家」としたのは、鬼籍に入られた方々の思いが、捨てずに残った資料でたどれると思ったのがその理由。挑戦した人々の息づかいを書き残したかった。
新潮社 / 1980円 / ISBN 4106110016
■金正恩の核兵器 北朝鮮のミサイル戦略と日本
井上 智太郎(共同通信社ニュースセンター整理部長)
▼北朝鮮の核ドクトリンを読み解く
米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)と水爆の製造能力を獲得した北朝鮮が、今度は「使える核」とも評される戦術核の量産を表明した。標的は日韓と駐留米軍。核はもはや瀬戸際外交の道具ではなく、実際の戦力として組み込まれつつある。ソウル、ワシントン、北京での取材を基に、新興核保有国、北朝鮮の虚実交えた生き残り戦略を読み解き、核兵器使用をいかに封じていくかを考察した。
筑摩書房 / 1034円 / ISBN 4480075488
■学習院女子と皇室
藤澤 志穂子(産経新聞出身)
▼メディアが加害者、被害者に
小室眞子さんの結婚において、その意志の強さ、行動力に驚き、違和感を覚えた国民は多いだろう。皇族の女性が皇室を出たいがために、夫となる男性に米NY州の弁護士資格を取らせ、一緒に米国に渡り自由な生活を満喫するという前代未聞の展開なのだから。その「違和感」の背景を、「ノブレス・オブリージュの欠如」ととらえ、曾祖父から4代の学習院出身で、眞子さんの先輩にあたる筆者が分析した、学習院女子と皇室をめぐる物語。
新潮社 / 880円 / ISBN 4106110016
■ジャーナリズムのココロとワザ―東京新聞ウォッチ20年
橋場 義之(毎日新聞出身)
▼〝発表報道〟批判を超えるために
中日・東京新聞の社内報「紙面審査報」で2003年から22年までに連載したコラム計154本を加筆・修正して一挙掲載した。批評の対象は、イラク戦争や東日本大震災、改元などビッグニュースもあるが、むしろ大部分は、記者が日常的に扱っている〝普通のニュース〟。その報道の質を高めるためにはどうしたらいいか――ふだん忘れがちなプロとしての心構えやテクニック、特に取材対象の5W1Hすべてに疑問を持ち続け、想像力を働かせながら全体像に迫る姿勢を再確認してほしい。
論創社 / 2640円 / ISBN 4846022781
■安倍「一強」の完成 ドキュメント 平成政治史 4
後藤 謙次(共同通信出身)
▼いかに「一強体制」は完成したか
安倍晋三元首相が凶弾に斃れて早1年が経つ。しかし、今なお日本の政治は「安倍一強」を超えられずに迷走する。その「安倍一強」は衆院の「小刻み解散」と3年ごとの参院選を組み合わせた選挙戦略によって土台が形成された。野党側は再起へのシナリオが描けず、党内の反対勢力は沈黙した。第4巻ではこの「一強体制」の完成までを追った。続く平成から令和への代替わりを経て、安倍政権の終焉までの足取りは第5巻に委ねた。
岩波書店 / 2970円 / ISBN 4000281798