会見リポート
2025年11月14日
10:30 〜 11:30
10階ホール
ウクライナ最高会議議員、市民団体代表ら 会見
会見メモ
ウクライナの最高会議(議会)議員や市民団体の代表ら6人から成る「アジア太平洋地域における政治・議会・市民対話発展のためのウクライナ官民合同訪問団」が来日し、会見に臨んだ。登壇したのは、ウクライナ最高会議(議会)議員のハリーナ・ミハイリュークさん、アナスタシア・ラディナさんと、ウクライナ勝利国際センター共同創設者でNGO国益擁護ネットワーク「ANTS」代表のハンナ・ホプコーさん、ウクライナ国家親衛隊アゾフ第1軍団のウォロディミル・ヴェルニホラさんの4人。ホプコーさんが代表を務める「ANTS」は10月9日に「STRATEGY FOR VICTORY」と題した報告書を公表。ロシアへの経済制裁強化により戦争資金を断つための戦略をまとめている。ホプコーさんは「(経済制裁)によるロシアへの影響は脆弱。さらに圧力を強める必要がある。日本も貢献してほしい」と訴えた。
※写真左からミハイリュークさん、ホプコーさん、ヴェルニホラさん、ラディナさん
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 西村好美 サイマル・インターナショナル
会見リポート
対ロ制裁の強化を訴え
常盤 伸 (東京新聞編集委員兼論説委員)
非道なロシアのウクライナ侵略戦争は4度目の冬を迎えた。会見では、戦争の長期化に抗して、あくまでウクライナの勝利を目指す決意が示された。
冒頭、最高会議議員で大統領代表のハリーナ・ミハイリューク氏が「日本のエネルギー分野での支援で、毎日のように命が救われている」と深い謝意を表明し、冬を乗り切るため日本の協力が不可欠と強調した。全土に攻撃を続けるプーチン大統領の関心は和平にはなく、狙いは今も独立したウクライナの崩壊である。
この認識のうえで、政策提言「ウクライナ勝利のための戦略」を作成したウクライナ勝利国際センター共同創設者のハンナ・ホプコー氏は「我々はナイーブではいられない。ロシア経済が崩壊してようやくプーチンは態度を変えるかもしれない」と指摘。「米欧の段階的な制裁にロシアは適応し、戦争を長引かせている。ガス、物流、金融、技術などへの制裁が行われれば経済は麻痺する」として、日本にも協力を求めた。名指しこそしなかったが、日本が輸入を続けるLNG「サハリン2」などが念頭にあるだろう。
来日直前に、エネルギー部門の大規模な汚職摘発が発表され、最高会議汚職対策政策委員長のアナスタシア・ラディナ氏の発言にも注目が集まった。「独立捜査機関による迅速な調査と起訴がようやく可能になった」。ラディナ氏はこう説明したが、国際支援やEU加盟交渉への影響が懸念されるところだ。
国家親衛隊アゾフ第1軍団の国際協力オフィサー、ウォロディミル・ヴェルニホラ氏はこう語った。「ロシア軍は毎日1000人という損失を出しながら戦闘を続けているのに、外国報道がその苛烈さに焦点を当てないのは驚きだ」。命の価値を、自ら身をもって知った兵士の言葉は重い。ともすれば戦況中心になりがちな現在の戦争報道の在り方への問題提起といえるかもしれない。
ゲスト / Guest
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ハリーナ・ミハイリューク / Galyna MYKHAILIUK
ウクライナ最高会議内大統領代表、ウクライナ最高会議議員、ウクライナ・日本友好議員連盟共同代表 / Representative of the President of Ukraine in the Verkhovna Rada of Ukraine, Co-Head of the Verkhovna Rada of Ukraine Groups on Interparliamentary Relations with Japan
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ハンナ・ホプコー / Hanna HOPKO
ウクライナ勝利国際センター(ICUV)共同創設者、NGO国益擁護ネットワーク「ANTS」代表、元ウクライナ最高会議外務委員長 / Co-founder of the International Centre for Ukrainian Victory | ICUV, Chairwoman of the National Interests Advocacy Network "ANTS"
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ウォロディミル・ヴェルニホラ / Volodymyr VERNYGORA
ウクライナ国家親衛隊アゾフ第1軍団 国際協力オフィサー(中尉) / Lieutenant, International Cooperation Branch Officer, 1st Corps Azov of the National Guard of Ukraine
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アナスタシア・ラディナ / Anastasia RADINA
ウクライナ最高会議議員、最高会議汚職対策政策委員会委員長 / Member of the Parliament of Ukraine, "Servant of the People" faction Chairwoman of the Parliamentary Committee on Anti-corruption Policy
