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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。
■古典に学ぶ現代世界
滝田 洋一(日本経済新聞社出身)
▼「自分強制」の産物 ご笑覧を
フランス文学者の鹿島茂さんによると、古典に親しむ秘訣は「自分強制」だという。毎月配本される日本文学全集の読破がそのきっかけだった由。かくいう私が積ん読の山に手を伸ばすことになったのは、編集者との雑談から始まった「日経BOOKプラス」への毎月の連載。いざ読みだすと現在進行形のストーリーがてんこ盛りなのである。コラムを付して一冊にまとめたが、うなぎ屋の煙のように古典の香ばしさを少しでも伝えられたらうれしい限り。
日経BP 日本経済新聞出版 / 1210円 / ISBN 4296124560
■漫画 いしぶみ 原爆が落ちてくるとき、ぼくらは空を見ていた
佐藤 宏(広島テレビ放送取締役東京支社長)
▼語り継ぐための、新たなかたち
原爆で命を奪われた広島二中1年生323人の記録を描いた『いしぶみ』が、被爆80年の2025年に初のコミック化。サメマチオ氏による繊細な作画と、時代考証に基づいた表現で、被爆の実相を「絵と文字」で次世代に語りかける。1969年のテレビ番組から始まり、書籍、映画と形を変えて継承されてきた命の記録。被爆者の高齢化が進む中、過去の記録を今に届け直す新たな試みとして、平和の継承に大きな意味を持つ一冊。
ポプラ社 / 1650円 / ISBN 4591186326
■奇才・勝田重太朗の生涯 近代日本のメディアを駆け抜けた男
千野 境子(産経新聞社出身)
▼忘れられた奇才を発掘
奇才の名付け親は勝田が終生、師と仰いだ國民新聞主筆の徳富蘇峰です。蒙古王を夢見て信州を出奔、朝鮮・京城日報受付係を振り出しに、新聞は新愛知(中日新聞の前身)東京支社長、國民新聞代表取締役、名古屋タイムズ社長、信濃毎日新聞副社長、産経新聞東京本社社長として腕を振るい、放送は信越放送社長。弘報堂、レート化粧品、科学主義工業社、東宝映画でも助っ人として活躍。勝田の足跡を辿れば近代日本のメディアの興亡が垣間見えます。
論創社 / 3080円 / ISBN 4846025012
■転がる石のように 揺れるジャーナリズムと軋む表現の自由
山田 健太(専修大学教授)
▼悪化する時代の流れを描く
表現の自由とジャーナリズムのありようは、2000年代に入って相次ぐ表現規制立法、15年頃からの政治的公正さを理由とした放送局への圧力や政治色がある作品展示の拒否といった忖度の蔓延、20年以降のコロナ禍を理由とする自由や権利全体の縮減と、悪くなっているように思われます。前作『見張塔からずっと』『愚かな風』はそうした前2期の状況を、本書は3期目を描きます。いずれもボブ・ディランの詩からタイトルを付けましたが、この3部作で時代の流れをご理解いただけると思います。
田畑書店 / 2750円 / ISBN 4803804591
■虚構の六四天安門事件 中国共産党の不都合な真実に迫る
加藤 青延(日本放送協会元解説主幹)
▼事件の「謎」探求の最終報告
36年前に発生した天安門事件。民主化を求める学生や市民を軍が武力で弾圧したこの事件は、世界に大きな衝撃を与えた。
だが当時、現場で一部始終を取材した筆者にとって、確信をもって伝えられたのは、直接目撃できた事象ばかり。取材の過程で多くの疑問や謎に行き当たった。
事件の真相を解き明かせば、中国という国の根源が見えてくる。
本書は、事件の謎と実態の解明をその後のライフワークとしてきた筆者の継続取材の総まとめである。
PHP研究所 / 1925円 / ISBN 4569859429
■立ち上がる日本農業 事典 農と食の今が分かる 明日を拓く
竹本 昌史(日本経済新聞出身)
▼農業の今が分かる事例満載
衰退の坂道を転がり落ちてきた日本農業に今、注目すべき動きが起こっている。それは逆境をハネのけて甦り、新たな成長産業へ転じようと挑む農業変革の動きである。各地の生産現場に足を運び、農業の明日を切り拓こうと取り組む農業界の生の実態を紹介するのが本書の狙いだ。燎原の火のように広がるスマート農業の動き、急速に進化する植物工場、農業の新旗手として登場する農業ベンチャーの台頭――など、農業の今の姿が良く分かる。
国書刊行会 / 7920円 / ISBN 433607691X
■北京行動綱領から30年 達成された成果と残された課題
稲澤 裕子(読売新聞出身)
共著 昭和女子大学女性文化研究叢書第14集
▼メディア女性管理職の声
1995年第4回世界女性会議で採択された北京行動綱領は、女性の地位向上とエンパワーメントに重要な12の問題領域について行動計画を明記した。各領域を研究者で分担し、第8章「女性とメディア」を担当した。新聞・通信社で局長・役員に就いた女性16人にインタビュー。「意思決定への女性の参加とアクセスを高める」「固定観念にとらわれない女性の描写を促進する」という2つの目標にどう近づいたのか、なお残る課題とともに考察した。
※購入はSWU出版会で(https://swu-publisher.bookstores.jp/)
御茶の水書房 / 4180円 / ISBN
■成田の乱 戸村一作の13年戦争
牧 久(日本経済新聞出身)
▼まだ続く「戦後最大の反乱」
配慮なき意思決定によって泥沼の抗争と化した成田空港建設。社会部記者として空港建設が決定した昭和41年から開港した53年まで13年近くにわたって現地取材した。反対派の一部は半世紀を経た今なお闘争を続けている。プロテスタントのキリスト教徒、戸村一作を委員長に担ぎ、過激各派(革マルを除く)が結集して、農民と一体となって展開した反対運動は、日本政府に対する「戦後最大の反乱」だった。本書は私の取材体験をもとにした成田闘争のルポルタージュである。
日経BP 日本経済新聞出版 / 2640円 / ISBN 4296121812
■ルポ 人が減る社会で起こること─秋田「少子高齢課題県」はいま
工藤 哲(毎日新聞社秋田支局)
▼人口減少率最高県を4年半取材
東京一極集中が進む一方、全国各地で進む人口減少。その率が最も高い秋田に支局デスクで1年半、記者として3年間取材し、各地で見聞きしたことをまとめました。この間にも各社の記者数は減少傾向にあり、発信される記事の数も減ることで、より地方発のニュースが大都市に伝わりにくくなり、そもそも地方への関心や理解がなくなるのではないか、という懸念があります。そんな中で秋田にどんな可能性があるのかにも触れました。地方への理解をより深めることが、一極集中に伴うリスクを避けることにもなることが伝われば幸いです。
岩波書店 / 2420円 / ISBN 4000245589
■歌集『地吹雪と輪転機 A newspaperwoman』
森澤 真理(新潟日報社特別論説編集委員)
▼女性記者40年を詠う
かつて「裏日本」と呼ばれた新潟に根ざす地方紙に、数少ない女性記者として入社したのが1982年。当時の新聞業界は圧倒的な男社会でした。〈セクハラの語も均等法もなき時代われら招かれざるとは知らず〉。40年余の記者生活などを354首にまとめました。タイトルの地吹雪は厳しい雪国の風土から。〈打ちつけの吹雪の港あかあかと灯ともし島は新聞を待つ〉〈胴震い続けるバスよ眠るとき人はなぜ皆老いた顔する〉。第1歌集。
六花書林 / 2420円 / ISBN 4910181776