2025年12月08日 14:30 〜 15:30 10階ホール
ジャスティン・ヘイハースト駐日オーストラリア大使 会見

会見メモ

ジャスティン・ヘイハースト駐日オーストラリア大使が、3年の任期を終え、帰国するのを前に会見に臨んだ。両国の協力関係は、防衛、安全保障だけでなく、貿易産業、経済安保など様々な分野で深化してきたと総括。日本とオーストラリアはインド太平洋の居住者というだけでなく、安定した地域をつくるつくり手であるという、ペニー・ウォン外相の言葉を引用した上で、世界情勢が不安定化する中で、「われわれの共有の利益を守る努力を精力的に続けなくてはいけない」と強調した。

  

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)

 


会見リポート

地域の安定には連携の強化

飯田 憲 (毎日新聞社外信部)

 台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国が猛反発し、日中関係は悪化の一途をたどっている。日本政府は対話継続の姿勢を示すが、打開策は見えない。そんな中での登壇となったが、オーストラリアのジャスティン・ヘイハースト駐日大使は「日本は長年、地域と世界の安定に貢献してきた」と語り、一貫して日本外交への理解を示した。

 会見で繰り返し強調されたのは、安全保障をはじめ、貿易や投資といったあらゆる分野で連携を深める日豪関係だ。折しも会見前日には、日豪の防衛相が防衛当局間の協力を強化する「戦略的防衛調整枠組み」の設置で合意したばかり。日豪間に日米のような安保条約はないものの、近年の日豪関係は同盟国に準じる関係に発展しつつあると印象づけた。

 実際、「海洋強国」を掲げる中国の威圧的な行動は、日本に限らず豪州にとっても脅威だ。ヘイハースト氏は自衛隊機への中国軍のレーダー照射について懸念を示した上で、「日本との関係を強化することはインド太平洋地域の安定につながる」と明言。台湾有事が起きた際の豪州の対応を問われても「我々の立場は米国などの同盟国との協力で地域の安定を守り、紛争を抑止することを目指す日本と同様だ」と述べた。

 インド太平洋地域で軍の往来が増えれば、「偶発的な衝突のリスク」は高まる。だからこそ両国は地域の緊張を緩和する不断の努力が欠かせない――。「必要なのはルールと国際法を守ることだ」。終始冷静な語り口ながらも危機感をにじませた。

 またヘイハースト氏は、日豪共通の同盟国である米国の安全保障政策にも言及した。頼りとするトランプ米政権の政策に不確実性が高まれば、地政学上のリスクに直結する。国際情勢が複雑化する中、平和国家の理念を守り、安保の裾野をどう広げていくのか。日本に突きつけられた課題を痛感する会見となった。


ゲスト / Guest

  • ジャスティン・ラウール・ヘイハースト / Justin Raul HAYHURST

    駐日オーストラリア大使 / Ambassador to Japan, Australia

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