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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■漢字辞典の謎―なぜ似ている 白川静「字統」と諸橋轍次「広漢和辞典」

小山 鉄郎(共同通信社出身)

▼諸橋『広漢和』への激しい批判 

 『大漢和辞典』の諸橋轍次が最晩年に著した『広漢和辞典』には白川静が解明した漢字の成り立ちと非常によく似た文字解釈がたくさんある。白川最初の漢字辞典『字統』の「まえがき」には諸橋『広漢和辞典』への激しい批判が記されている。その批判の意味が白川静没後20年の今年初めて明らかになる。

 諸橋『広漢和辞典』(鎌田正、米山寅太郎も著者)で白川の解釈と似た説明に転換していく漢字を具体的に多数挙げて説明。ともに文化勲章を受けた諸橋、白川という漢字学の泰斗の関係がわかる漢字ファン必読の書。

 


論創社 / 2420円 / ISBN 4846025349

■橙黄橘緑のころ~漢詩を楽しむ日々~

永森 治(NHK出身)

▼古今の先人の名詩を味わう

 「切磋琢磨」「他山の石」の出典が紀元前の詩経と知り驚く。「国破れて山河あり」「春眠暁を覚えず」「乾坤一擲」「捲土重来」は唐代の詩に由る。名言名句が今に息づく。

 昔の詩人の憶いも現代人の心情と同じだ。自然を愛で人生の哀歓を詠む。交友、送別、情愛、飲酒、笑える名詩もある。

 現存する多くの漢詩の名作、朗誦しても楽しく人生の糧になる。門外漢の愚書が高知県出版文化賞を受け冷や汗です。

 


高知新聞総合印刷 / 0円 / ISBN

■償い 綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件 6人の加害少年を追って

山﨑 裕侍(北海道放送コンテンツ制作センター報道部デスク)

▼25年間考え続けた答えとは 

 「なぜ加害者を擁護する」

 「被害者のことを考えろ」

 史上最悪の少年事件の加害者を報じると、いつもこのような意見が噴出する。そんな感情を抱く人ほど、この本を読んでほしい。

 私が取材するのは、被害者のためである。私が報じるのは、新たな被害者を出さないためである。私が伝えるものは、あなたのためでもある。

 子どもを被害者にも加害者にもしないために何ができるか。25年間考え続けた答えとは…。

 


文藝春秋 / 1980円 / ISBN 416392065X

■日本財団は、いったい何をしているのか 第十巻 教育大刷新

鳥海 美朗(産経新聞社出身)

▼偏差値教育を打破しよう 

 日本財団グループが、ついに日本の大学教育の構造改革に乗り出した。その柱の一つがZEN大学。KADOKAWAの子会社であるコンピューターエンターテインメント企業を運営のパートナーにした新タイプのオンライン大学である。もう一つの柱は、学生たちが日本を含む世界の複数の都市を巡回、滞在し、社会課題の解決の方策を探る米ミネルバ大学の手法の採用だ。二つの大学の共通点は偏差値至上主義を超越した学びの手法と言っていい。

 


工作舎 / 2200円 / ISBN 4875025858

■ツーリズムの世紀 日本再興の最後のチャンス

橘高 聡(元日本経済新聞社記者、日経リサーチ顧問)

▼観光資源大国ニッポンの好機 

 世界は「ツーリズムの世紀」を迎えた。多くの産業が競争力を失った日本では、観光が経済低迷を脱する切り札になる。だが自然、グルメ、歴史、文化、マンガ……豊かな観光資源に恵まれながら生かしきれていない。オーバーツーリズムなどの課題もある。では、どうすればよいのか。シンガポール、フランスなど観光先進国の事例や「仕事と旅の融合」など新潮流を紹介し、地域や国、関連産業がツーリズムの時代に飛躍するための方策を考える。

 


日経BP 日本経済新聞出版 / 2530円 / ISBN 4296120743

■邪馬台国倭国扶桑国統一史~道理と道義の花を咲かせる~

壱岐 一郎(九州朝日放送出身)

▼元軍国少年の総決算 

 学界・出版界が避ける中国史料。1989年に北京放送に職を得て、あの天安門事件後の2年、複雑・広大な中国を巡り歩き帰国しました。

 正史とされる日本書紀を疑って70年、考古資料と中国史料から、初代天皇を天命開別命、天智天皇としたものです。

 関西、福岡に3回住み、大昔、金沢、仙台に学んだほか、北京、沖縄に通算10年住んでいます。元軍国少年の総決算になりました。


つむぎ書房 / 1980円 / ISBN 4911355212

■調査報道の戦後史 1945―2025

高田 昌幸(北海道新聞社・高知新聞社出身)

▼調査報道の軌跡記す 

 「ジャーナリズム再興の鍵は調査報道にある」。そう言われて久しいが、調査報道の通史はこれまで存在せず、そもそもどんな調査報道が展開されてきたのかといった点は未整理のままだった。本書は「調査報道」という言葉が生まれていなかった敗戦間もない時代から現代まで、社会を動かした調査報道(キャンペーン報道を含む)を網羅する狙いで著した。「そのとき記者はどう動いていたか」が記述の中心であり、読み物としても十分楽しめると思う。

 


旬報社 / 2530円 / ISBN 4845121549

■経済で読み解く昭和史

岡田 晃(テレビ東京出身)

▼「昭和100年」に見る日本の底力 

 昭和という激動の時代。先人たちは戦争や度重なる経済危機を乗り越え、今日の日本経済を作り上げてきた。その原動力となったのは日本人の不屈の精神、日本企業の技術力とあくなき挑戦であり、これこそが「日本の底力」だ。筆者が日経に入社してから早50年余り、「昭和100年」の約半分だ。本書はその間の取材経験も交えつつ、昭和経済の変遷を独自の視点で丹念に追い、「昭和の教訓」を探った。本書が、令和の日本経済復活の一助になれば幸いである。


PHP研究所 / 1210円 / ISBN 4569860338

■首都圏は米軍の「訓練場」

大場 弘行(毎日新聞社取材班)

▼5年に及んだ調査報道 

 取材にのめり込むきっかけは、2020年の夏、新宿のビル群を低空ですり抜ける米軍ヘリを目撃したことだった。彼らは日本の首都のど真ん中で何をしているのか。同僚とともに、カメラを手に高層ビルのフロアに張り込み、取材ヘリを飛ばして追跡した。浮かび上がったのは、首都圏の空に張り巡らされた米軍の訓練ルートだった。本書では、5年に及んだ調査報道の軌跡とともに、米軍特権を温存するカラクリ、日米交渉の内実を報告する。

 


藤原書店 / 2750円 / ISBN 486578473X

■過疎ビジネス

横山 勲(河北新報社編集部)

▼地方自治の危機に迫る 

 人口減少で活力を失った小さな自治体に地方創生の夢を語って近づき、行政機能のアウトソーシングを持ちかけて公金を吸い上げる。福島県国見町で2022年度に計画された地方創生事業の取材から浮かび上がったのは、言葉巧みなコンサルタントが暗躍する「過疎ビジネス」の実態だった。企業版ふるさと納税制度の抜け穴を突いた事業スキームを調査報道で暴き、「民主主義の学校」である地方自治の危機を追った2年間のドキュメント。

 


集英社 / 1100円 / ISBN 4087213730
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