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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■100年かけてやる仕事 中世ラテン語の辞書を編む

小倉 孝保(毎日新聞社編集編成局次長)

時間かけ作ったものこそが時間に堪える

 英国で2013年、『英国古文献における中世ラテン語辞書』が完成した。辞書作りのスタートは1913年。完成までに100年をかけたこの辞書のため、英国各地の文献から中世ラテン語を採取したのはボランティアの市民だった。自分の生きている時代には完成しそうもない辞書のために、市民は無報酬で協力した。「後世のために」との思いを共有して、辞書を仕上げようとした人々の姿を通して英国人気質を考えた。


プレジデント社 / 1944円 / ISBN 4833423154

■韓(から)めし政治学

黒田 勝弘(産経新聞社ソウル駐在客員論説委員)

「金正恩の冷麺はナゼ黒かったか」

 韓国人の日常あいさつは「飯食ったか?」であり、かの地では飯を食わないと何事も始まらない。だから激動の朝鮮半島情勢も飯抜きには語れない。そこで金正恩は板門店に平壌冷麺を持ち込み、文在寅はトランプに「独島エビ」を食わせ、「独り飯」好きの朴槿恵は追放され、米国では「ビビンバと慰安婦」の同時広告が登場し、筆者は大統領の招待飯からはずされた…。在韓40年の日常と記者生活から分かった「韓国人の食と政治」の深層をレポートした。

 


角川新書 / 929円 / ISBN 4040822730

■戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」

メディアが加害者、被害者に 

 かつて、偽りの古文書(偽書)をめぐって青森県が、そして東北地方が、最終的には国内の歴史界が震撼した一大騒動があった。偽書の名は「東日流外三郡誌」。この騒動の特徴は新聞、テレビ、出版社というメディアが次々に巻き込まれ、時には〝加害者〟に、はたまた〝被害者〟になったことにある。

 そんな戦後最大の偽書事件の一部始終を、震源地の記者として追ったルポである。10年ぶりの再文庫化に際して、事件後の最新情報を大幅加筆したほか再編集し改題した。地方の一記者の奮闘記として手に取ってもらえればうれしい。ちなみに、表紙イラストはガンダム作家として知られる畏友安彦良和さんの描き下ろし。


集英社文庫 / 864円 / ISBN 4087458520

■マイヤ・プリセツカヤ 闘う舞姫とその時代

高山 智(朝日新聞出身)

政治と芸術の狭間を生き抜く

 日本にもファンの多い天才バレリーナが主人公だが、芸術本ではない。共産主義体制下で過酷な運命を強いられた一人の舞姫の歩みを通してスターリン弾圧の底知れぬ恐ろしさを再認識していただこう、というのが主眼だ。またぞろポピュリスト強権指導者のはびこり出した今の世界にも通じるテーマだろう。読者からは「知らなかった、人もうらやむ栄光の座にあったプリセツカヤにそんな過去が・・・」と、驚きの感想も届いている。


群像社 / 972円 / ISBN

■現代アメリカ政治とメディア

米国メディアの「今」を分析

 トランプ氏は、テレビ番組のホストとして知名度を上げ、「メディアが創りだした大統領」とも称される。一方、トランプ氏は大統領になった後も、メディアへの苛烈な攻撃を続けている。米国政治とメディアの関係は、劇的に変化した。本書は、学者とジャーナリスト計7人が、政治とメディアの分極化、伝統メディアと新興メディアの攻防、トランプ支持者のメディア消費、非営利団体による調査報道などをテーマに、歴史的な流れも踏まえつつ、調査・分析を試みた1冊である。


東洋経済新報社 / 3024円 / ISBN 4492762477

■竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2

北辻 利寿(CBCテレビ論説室長)

与田そして根尾~ドラゴンズ論説の筆は熱く!

 6年連続Bクラスと低迷続く中日ドラゴンズ。しかし与田剛新監督誕生とスーパールーキー根尾昂選手の入団で反撃ムードは高まっている。「Bクラスはもうごめんだ!」。竜党の心からの叫び。中日ドラゴンズ検定1級認定者として、チーム低迷の徹底分析、毎週ウェブで執筆している論説コラム、そして杉下茂、高木守道、星野仙一、田尾安志ら竜戦士25人のエピソードなどを通して、新生ドラゴンズへのエールを熱くつづった。

 


ゆいぽおと / 1296円 / ISBN 4877584765

■酔眼耄碌翁のたわごと

轡田 隆史(朝日新聞出身)

歴史ではなくニンゲンが繰り返す愚行 

 半世紀以上も昔、雪の盛岡支局の、薪の燃えるダルマストーブを囲んだ議論で、こころに刻んだ思いを抱きながら踏んで歩く、中東の流血の血だまり。吹きつのる風の音とともによみがえる人々の姿と声。過酷な言論弾圧を受けた「戦争が廊下の奥に立っていた」という開戦直前の句を借りていうなら、いま廊下の奥に立っているものは何か! 83歳の「耄碌翁」が、怪しい半生をふりかえる。

 


出版芸術社 / 1620円 / ISBN 4882935139

■企業ファースト化する日本~虚妄の「働き方改革」を問う

竹信 三恵子(朝日新聞出身、和光大学名誉教授)

「働き方改革」の真の姿 

 「働き方改革」をたたえる声があふれている。だが、その実像は、日本の働き手の権利を巡る根本的な転換ではないのか。本書は、そんな危機感から、残業規制、同一労働同一賃金、公務員制度改定、女性活躍を現場の視点から横断的に検証し、それらをつなぐ「企業ファースト化」の動きを明らかにした。「明るさ」にすがりつかず「改革」の真の姿を直視することこそが、次につながる。そんな思いを込めた一冊だ。

 


岩波書店 / 1836円 / ISBN 4000613189

■心にとどめておきたい 美智子さまの生き方38

渡邉 みどり(日本テレビ出身、文化学園大学客員教授)

経験の継承 

 あの、ご成婚パレードから60年。今年5月に今上天皇は退位し、陛下は「上皇」、美智子さまは「上皇后」に。初めて耳にする言葉です。両陛下は日本の敗戦という昭和天皇の負の遺産を背負いながら、弱者に寄り添ってこられました。

 六代前の光格天皇は当時、天皇家の血筋とは遠いことから軽く扱われたといいます(藤田覚『幕末の天皇』講談社)。光格天皇に学問のすすめを説いたのが、伯母の後桜町院でした。私には後桜町院が、これまで若い宮さま方に経験の継承を説いてこられた美智子さまのお姿と重なって見えます。

 


朝日新聞出版 / 734円 / ISBN 4022619449

■なぜ働き続けられない? 社会と自分の力学

鹿嶋 敬(日本経済新聞出身)

女性の活躍推進とはいうが… 正社員の4人に3人は男性だ。総合職に至っては、女性比率は2割にも達していない。女性の典型的な働き方は非正規社員。それはなぜなのか。男女雇用機会均等法の制定前後から今に至る40年近い職場の男女平等の歴史をひも解きながら、なぜ男性と対等な関係が築けなかったのかを明らかにする。今、政府も女性の活躍推進を強調するが、背景にあるのは人手不足対策だ。ではそれが解消すれば、家庭内での活躍推進となるのか。固定的な性別役割分担意識を揺り動かし、「自らの意思」が尊重される社会をどうつくるのかを考察した。


岩波新書 / 886円 / ISBN 4004317568
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