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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■鉄道と愛国 中国・アジア3万キロを列車で旅して考えた

𠮷岡 桂子(朝日新聞社記者)

▼新幹線が映す日中とアジアの未来 

 戦前の弾丸列車にルーツを持つ新幹線を通して日中関係を追いかけるうち、アジアに生きる日本の未来を問う旅になりました。戦後日本の発展の象徴となった新幹線には、日本社会の「熱」が宿ります。旧運輸省担当だった1995年から取材してきたテーマを、北京、上海やバンコク駐在の機会にも恵まれ約20カ国で列車に乗り、人に出会って考えました。ルポに加えて、政治家、政策当局者、JR東海や川崎重工業の首脳ら多くの当事者へのインタビュー、史料と格闘しました。ちなみに、筆者は乗り鉄です。


岩波書店 / 2860円 / ISBN 400061603X

■金正恩の核兵器 北朝鮮のミサイル戦略と日本

井上 智太郎(共同通信社ニュースセンター整理部長)

▼北朝鮮の核ドクトリンを読み解く 

 米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)と水爆の製造能力を獲得した北朝鮮が、今度は「使える核」とも評される戦術核の量産を表明した。標的は日韓と駐留米軍。核はもはや瀬戸際外交の道具ではなく、実際の戦力として組み込まれつつある。ソウル、ワシントン、北京での取材を基に、新興核保有国、北朝鮮の虚実交えた生き残り戦略を読み解き、核兵器使用をいかに封じていくかを考察した。


筑摩書房 / 1034円 / ISBN 4480075488

■ジャーナリズムのココロとワザ―東京新聞ウォッチ20年

橋場 義之(毎日新聞出身)

▼〝発表報道〟批判を超えるために

 中日・東京新聞の社内報「紙面審査報」で2003年から22年までに連載したコラム計154本を加筆・修正して一挙掲載した。批評の対象は、イラク戦争や東日本大震災、改元などビッグニュースもあるが、むしろ大部分は、記者が日常的に扱っている〝普通のニュース〟。その報道の質を高めるためにはどうしたらいいか――ふだん忘れがちなプロとしての心構えやテクニック、特に取材対象の5W1Hすべてに疑問を持ち続け、想像力を働かせながら全体像に迫る姿勢を再確認してほしい。


論創社 / 2640円 / ISBN 4846022781

■学習院女子と皇室

藤澤 志穂子(産経新聞出身)

▼メディアが加害者、被害者に 

 小室眞子さんの結婚において、その意志の強さ、行動力に驚き、違和感を覚えた国民は多いだろう。皇族の女性が皇室を出たいがために、夫となる男性に米NY州の弁護士資格を取らせ、一緒に米国に渡り自由な生活を満喫するという前代未聞の展開なのだから。その「違和感」の背景を、「ノブレス・オブリージュの欠如」ととらえ、曾祖父から4代の学習院出身で、眞子さんの先輩にあたる筆者が分析した、学習院女子と皇室をめぐる物語。


新潮社 / 880円 / ISBN 4106110016

■安倍「一強」の完成 ドキュメント 平成政治史 4

後藤 謙次(共同通信出身)

▼いかに「一強体制」は完成したか

 安倍晋三元首相が凶弾に斃れて早1年が経つ。しかし、今なお日本の政治は「安倍一強」を超えられずに迷走する。その「安倍一強」は衆院の「小刻み解散」と3年ごとの参院選を組み合わせた選挙戦略によって土台が形成された。野党側は再起へのシナリオが描けず、党内の反対勢力は沈黙した。第4巻ではこの「一強体制」の完成までを追った。続く平成から令和への代替わりを経て、安倍政権の終焉までの足取りは第5巻に委ねた。


岩波書店 / 2970円 / ISBN 4000281798

■昭和人の棲家 報道局長回想録

平本 和生(TBSテレビ出身)

▼偶然に残った資料から

 新卒入社から半世紀TBSに在職した。三菱重工本社爆破事件取材で惨敗からの記者スタート。田中番記者、ベルリンの壁崩壊、プラザ合意、9・11、イラク戦争など取材資料を整理してみた。経営の立場では、楽天との委任状争奪戦もあり、実に多くの方々の支援を得た。「昭和人の棲家」としたのは、鬼籍に入られた方々の思いが、捨てずに残った資料でたどれると思ったのがその理由。挑戦した人々の息づかいを書き残したかった。


新潮社 / 1980円 / ISBN 4106110016

■無償の愛をつぶやくⅣ

高尾 義彦(毎日新聞出身)

▼ツイッターで俳句を発信 

 78歳の誕生日(6月19日)に合わせて自費出版。2014年、17年、20年に続き、3年ごとに1冊。この3年間に毎日、ツイッターでつぶやいた俳句はすべて収録、徳島新聞コラム「勁草を知る」、ハワイの日本語新聞「日刊サン」への寄稿や早稲田大学政治経済学術院 土屋礼子教授の「ジャーナリスト・メディア関係者個人史聞き取り調査プロジェクト」でまとめてもらったインタビューも収録した。3年後は80歳代の大台、「Ⅴ」が発行できるかどうか。一応定価1,000円に設定、希望者にはお届けします。問い合わせは高尾まで(メール:yytakao@nifty.com)。


 / 円 / ISBN

■教養としてのドラッカー  「知の巨人」の思索の軌跡

小島 明(日本経済新聞出身)

▼社会を鋭く観察 実像を紹介

 〝押しかけ弟子〟を任じ、恩師に捧げた著作。彼が80歳の時、1989年に著した『新しい現実』はソ連の崩壊を洞察、崩壊後のソ連がヨーロッパに軍事進攻する可能性も否定できないと、ぞっとするような洞察力を示した。出版社がヘンリー・キッシンジャーに書評を頼んだがキッシンジャーは「友人が耄碌したと言いたくはない」として断ったという。ハウツー的な経営の専門家ではなく、社会を鋭く観察し続けたドラッカーの実像を紹介。29歳の時に出版した『「経済人」の終わり』は全体主義、ナチズムを分析、最近も増し刷りされた力作。骨太のリベラルアーツ。


東洋経済新報社 / 1980円 / ISBN 4492522360

■椿飛ぶ天地

滑志田 隆(毎日新聞出身)

▼漱石の俳句巡る友情の軌跡 

 小説二篇。表題作「椿飛ぶ天地」は「俳句とは何か」を問いながら、椿の落花を集める男の物語。漱石の俳句「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」は実景を見た写生か、観念の産物なのか。弟子の寺田寅彦は椿を〝飛行体〟と考えて実験し、師の真意に迫る。その友情と洒脱の軌跡を追った結論は「俳句はアカルチュレーション(文化変容)なり」。「平壌号」は北京―平壌の列車の旅を描く紀行小説。北朝鮮が国を挙げて取り組む植林運動の報告が興味深い。


論創社 / 1980円 / ISBN 4846022404

■最高の一年 五十六歳で逝った妻は教えてくれた

真田 正明(朝日新聞出身)

▼がん標準治療を断り余命を全う 

 ステージⅣBの子宮体がんだとわかったとき、妻はそれ以上の治療をしないことを決意した。そして豪州にいる娘の出産を手助けに行った。京都の友人や、和歌山県・龍神村にいる母とは、最期の別れを交わした。するべきことをし、言うべきことを言って、中秋の名月の日に旅立っていった。鎌倉に転居して1年間ほどのことだ。「いてほしいときに、あなたはいない」と言われ続けた夫が、四季の移ろいとともにその日々を綴りました。


さくら舎 / 1760円 / ISBN 486581390X
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