2025年11月27日 15:00 〜 16:00 9階会見場
「手に魂を込め、歩いてみれば」監督 セピデ・ファルシさん 会見

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会見リポート

なぜ彼女はいないのか

荒 ちひろ (朝日新聞社国際報道部)

 イラン出身の映画監督と、ガザのフォトジャーナリストの1年にわたるビデオ通話による交流を収めたドキュメンタリー作品(映画「手に魂を込め、歩いてみれば」)。日本公開を前に、セピデ・ファルシ監督が来日し、試写会と会見が開かれた。

 2024年4月、ファルシ監督が電話をかけると画面に笑顔の女性が現れた。ファトマ・ハッスーナさん、24歳。「うちの娘と同い年だわ」。スマートフォン越しの交流が始まる。

 会話する2人が映るスマホ画面とニュース映像、そしてファトマさんが撮影したガザの写真や動画。ガザの通信環境が悪く、画面が固まったり、途中で切れたり。ときに監督の飼い猫が会話を遮り、ファトマさんの弟が照れながらこちらをのぞき込む。監督の目を借りて、ファトマさんが生き生きと話す姿を目にし、私たちも彼女が生きた証人となる。

 会話中もドローンや爆撃の音が聞こえ、建物が揺れる。ファトマさんに疲れが見える日も増えていく。それでも「彼女の笑顔はいつも変わらなかった」と監督は振り返る。

 なぜ笑顔を失わずにいられるのか。「生きるためだったのだと思う」と監督は述べた。「抵抗であり、尊厳だと。ガザのパレスチナ人であることを誇りに思うのだと、ファトマは笑顔で答えたのです」

 犠牲者の多くが女性や子どもであること、イスラエルが外国メディアのガザ入りを禁じていること、世界の主要メディアがパレスチナ人の声を全く伝えていないと感じたこと。この3点に突き動かされ、「ガザで何が起きているのか、自分の目で理解したかった」と会見で語った監督。なぜファトマさんが攻撃され、殺されたのか。イスラエル側に問い合わせたが、答えはなかったという。「これは人道に反する罪だ」と断じた。

 画面いっぱいのファトマさんの笑顔や、前を向こうと発せられる言葉が印象に残る。なぜ彼女がもうこの世にいないのか。考え続けている。

 


ゲスト / Guest

  • セピデ・ファルシ / Sepideh Farsi 

    映画監督 / movie director

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