2026年03月23日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(4)鈴木啓之・東京大学特任准教授

会見メモ

イスラエルはどのようにしてイランを「最大の脅威」として捉え、今回の軍事攻撃に至ったのか。

ネタニヤフ首相の真の目標は何か、トランプ大統領との協力関係は揺るぎないのか。

「イスラエルの対イラン関係の変遷」(『中東研究』第555号)と題した論文を発表した東京大学特任准教授の鈴木啓之さんが、イスラエル側の視点でこの戦争の終着点をどこに置き、今後どのような展開が想定されるのかなどについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「体制崩壊」狙うイスラエル

宮坂 一平 (時事通信社解説委員)

 「4週間はかかるが、それより短いかもしれない」。米国とイスラエルがイランに攻撃を開始した翌日、トランプ大統領は軍事作戦終了までの期間をそう語っていた。

 しかし、初日の攻撃で最高指導者ハメネイ師を殺害し、イラン国民に蜂起を促したものの、呼応する動きは現れなかった。

 それどころか、湾岸諸国はイランの報復攻撃に巻き込まれ、エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡も事実上封鎖された。世界経済は「人質」に取られた格好だ。

 今回の攻撃は、「脅威」の排除や主権国家の体制転換まで狙った力の行使にほかならない。

 しかし、イランは「非対称戦」で応じ、米国には焦りが見える。

 市場の動揺を横目に、トランプ氏は戦闘終結を模索。イランの発電所への攻撃猶予期間の延長を表明したが、イスラエルは直後に核関連施設を攻撃した。

 米国がイランとの「交渉」に傾斜して、停戦の流れができることに反発するかのような行動だ。

 ネタニヤフ首相の強硬姿勢を支える背景として、鈴木啓之氏は現地紙の世論調査(3月20日)を示した。

 戦争の終着点について39%が「現体制の転換」と回答。「核開発の完全破壊」の18%、「ミサイルとドローンの完全除去」の11%を引き離していると指摘し、「イスラエル国内の期待に大きく後押しを受けている」と解説した。

 ではなぜ、民間人を巻き込む軍事行動が容認されるのか。その問いには、「ガザでの戦闘以降、目的が正しければ手段を選ばずの理解が広がった。脅威には勝利が正義だと意識されている」と述べた。

 得心したのは、「体制転換と言いながら、狙っているのは体制崩壊」という分析。国家崩壊でイランが混乱しても、自国に対する軍事的脅威が除去されればいいとの考え方だ。

 「イスラム共和国体制は47年続いている。傷だらけだが、外国勢力に崩壊させられることをイラン国民が選ぶのか。簡単な話ではない」

 それは、ネタニヤフ首相も最初から知っていたはずだ。ならば、米国は利用されたことになる。地上部隊が投入されれば、真の泥沼になる。


ゲスト / Guest

  • 鈴木啓之 / Hiroyuki SUZUKI

    東京大学特任准教授 / Project Associate Professor, The University of Tokyo

研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響

研究会回数:4

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