2021年09月27日 13:30 〜 15:00 オンライン開催
「ジェンダーと政治」辻村みよ子・東北大学名誉教授/弁護士

会見メモ

政治分野での男女格差是正を目的に、候補者や議席の一定比率を性別に基づき割り当てるクオータ制の導入が世界各国で進む。

憲法・ジェンダー法が専門の辻村みよ子・東北大学名誉教授がオンラインで登壇。各国の制度の内容、日本のジェンダー平等とポジティブアクションの課題について話した。

 

司会 保高睦美 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

クオータ制導入 法的根拠あり

山田 道子 (会報委員 毎日新聞出身)

 「日本の状況はどんなにひどいのか」で始まった。世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数(2021年報告)で日本は156カ国中120位とお粗末なのは周知だが、特に政治分野では、完全平等の1に対し0・061。閣僚、国会議員、行政府の長の在任期間男女比が著しく低く、民主主義国家にあるまじき有様なのだ。

 なぜか。諸外国では、ポジティブ・アクション(PA、女性登用のための積極的改善措置)を一生懸命やっていたのに、日本はやっていないからだという。政治分野で女性を増やすには、PAの一つで、特定の議席数や割合を女性に割り当てるクオータ制が効果的だ。政党が率先して導入した英国、クオータ制が違憲判決を受けたためパリテ法(男女同数候補者法)を制定したフランス、法律で強制的にクオータ制を導入した韓国などの例をあげ、「日本でも法律に基づくクオータ制を導入する法的根拠はある」と断言。そのうえで「クオータ制は法の下の平等、結社の自由を定める憲法に違反する可能性がある」などと問題点を押さえた。憲法問題に対しては「実施的平等を目指すものなので目的と手段の間に合理的関連性があればクリアできる」「『国会の組織自体が選挙区を鏡に映したように構成されないといけない』という思想に基づいたフランスの『半代表制』の考えを入れればクリアできる」と説いた。

 そして、日本でPA確立のためには、仕事と家庭の両立支援制度や研修といった漢方薬型処方箋で女性の力を高め、すそ野を広げ、そこに強制的クオータ制のような即効薬型処方箋を入れる。その際には、韓国のような女性候補者の割合に応じて政党助成金を増額するというインセンティブを活用することを提案した。

 自民党総裁選の候補者男女同数については「進歩を感じるが、女性だったら誰でもいいわけではない」と。されど「数」。改めるにはクオータ制が必要だ。


ゲスト / Guest

  • 辻村みよ子 / Miyoko Tsujimura

    東北大学名誉教授・弁護士

研究テーマ:ジェンダーと政治

研究会回数:6

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