会見リポート
2026年04月24日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(8) 中西寛・京都大学教授
会見メモ
中西寛・京都大学大学院法学研究科教授が、国際政治学の観点から、イランと米・イスラエルをめぐる情勢を分析、「戦後秩序の終わりの終わり」「1973年体制の終焉」といったキーワードで、国際政治の転換点にあるとの見方を示した。
司会 乾正人 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)
会見リポート
国際秩序の「終わりの終わり」、その先は
片野 裕之 (毎日新聞社外信部)
開戦から2カ月以上がたった米国・イスラエルとイランの戦争を国際政治の中でどう位置づければ良いのか。京都大学・中西寛教授は記者会見で、「国際秩序の『終わりの終わり』を見ている」と語った。
第2次世界大戦後にできた米国中心の国際秩序。その「終わり」は米国発の世界経済危機が起き、中国が初の五輪を開催した2008年に始まったと中西氏はみる。その後、中ロを始め、西側諸国に真正面から異を唱える国家指導者が登場。欧米と対立する国が存在感を増し、欧州連合(EU)から離脱した英国など戦後秩序を主導してきた国が大きく方針を切り替える中、新型コロナウイルスが世界的に流行した。中西氏は、ウイルスとサイバー空間の浸透が世界の分断を深め、国際秩序の「終わりの終わり」が始まったと分析する。
第2次トランプ政権は大規模な関税政策や同盟国などへの威圧を繰り返している。「従来の米国の戦後外交を否定する外交路線の流れ」(中西氏)の中でイラン戦争が起きた。
秩序の「終わりの終わり」は何をもたらすのか。中西氏が示すのは、1973年の石油危機でもたらされたペトロダラー体制の終焉だ。
73年の石油危機を受け、米国はドル基軸の原油取引の仕組みを形成。ドル建て資産への世界的需要により「ドル覇権」が確立された。中西氏はイラン戦争後、「ドル覇権の体制には戻らない」とみる。米国が自国の石油と天然ガスを囲い込み、第2次大戦を引き起こした30年代のブロック経済に近づく可能性も示す。
さらに、中東に「世界の地政学的問題が集まる可能性がある」と指摘。終戦に向け仲介するパキスタンやインド、中国、東南アジアを挙げ、「全般的にアジアと中東情勢の政治的関係が深まっている」とした。その上で、「日本はアジア諸国の意見をすりあわせ、米・イランを仲介する姿勢が必要だ」と提案した。
ゲスト / Guest
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中西寛 / Hiroshi NAKANISHI
京都大学法学部教授 / professor, Kyoto University
研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響
研究会回数:8
