2026年04月22日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(7) ユダヤ人とイスラエルの歴史から考える 鶴見太郎・東京大学准教授

会見メモ

ユダヤ教の成立以前からイスラエル建国、現代まで3000年に及ぶユダヤ人の歴史をまとめた『ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』(中公新書 2025年)の著者、鶴見太郎・東京大学准教授が「ユダヤ人とイスラエルの歴史から考える」の演題で話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

攻撃の根底に「犠牲者意識」

水野 翔太 (読売新聞社国際部)

 鶴見氏は、イランを攻撃したイスラエルを現在と歴史の視点から分析した。

 イスラエルのユダヤ人の約8割は攻撃を支持しているという。背景として、パレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスによる2023年10月の攻撃の被害を挙げた。イスラエルは後ろ盾のイランの体制転換が実現できれば、ハマスを無力化できると見込んでいたと指摘した。

 住宅用シェルターがミサイル攻撃による被害を防ぎ、イラン攻撃を徹底する上で基盤になったとも解説した。自身も研究のため3月までイスラエルに滞在しており、安全性の高さを体験したという。

 米国とイランの停戦により、イスラエルのイラン攻撃は体制転換を達成できずに停止したことに触れ、「総選挙が10月までに行われるが、ネタニヤフ首相の支持率は低下しており、政権継続は微妙な情勢にある」と分析した。

 約2000年間のディアスポラ(離散)時代、ユダヤ人は自らの特性を生かせる国と地域で有力者らと協調し、宗教と生活を守ってきたという。これに対し、1948年に建国したイスラエルは「民族や国家を鉄壁で守り、敵対勢力を破壊または無力化することが基本になっている」といい、性質が異なると指摘した。

 イスラエルの有力者の多くはロシア・東欧系のユダヤ人にルーツを持つ人々で、反ユダヤ主義とポグロム(迫害)の記憶が強く残り、自活自衛の国家運営に影響しているという。

 敵対勢力に対する攻撃の根底には、ホロコーストの記憶に基づく「犠牲者意識ナショナリズム」があり、イスラエルは加害者がナチス・ドイツから「アラブ諸国、中東諸国、イスラム世界に移ったと理解している」と解説した。中東の安定に向けて「米国以外の国際社会がどれほど真剣に関与するかが問われている」と語った。


ゲスト / Guest

  • 鶴見太郎 / Taro TSURUMI

    東京大学大学院総合文化研究科准教授 / Associate Professor, Tokyo University

研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響

研究会回数:7

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