会見リポート
2026年04月09日
11:00 〜 12:30
9階会見場
「給付付き税額控除と社会保障」是枝俊悟・大和総研主任研究員
会見メモ
税制、社会保障制度、金融制度が専門で、社会保障国民会議・有識者会議のメンバーを務める。
マクロとミクロそれぞれから、税と社会保障の負担と給付の構造と、改革に向け必要となる視点を解説するとともに、給付付き税額控除の制度設計の実現に向けたロードマップの大和総研案を示した。
第1ステップとして、すべての納税者を対象に所得税に対して一定額の税額控除を行い、残額は社会保険料の範囲で還付する「社会保険料還付付き税額控除」を行うというもので、「早ければ来年の年末調整、再来年の確定申告時には還付できるのではないか」と述べるとともに、来年から給付付き税額控除を実施できるなら、「(つなぎとしての)食料品消費税ゼロを通らず、直接本丸に攻め込むことも選択肢になる」。
司会 吉村英輝 日本記者クラブ企画委員(産経新聞社)
※ゲストの希望によりYouTubeでのアーカイブ配信は行いません。
会見リポート
簡易版 27年から実施可能
吉田 ありさ (日本経済新聞社編集委員)
自分と異なる世代、所得、世帯類型の方の貢献を理解しリスペクトし合おう―――。社会保障国民会議有識者会議で最も若い是枝氏は会見で何度もこう呼びかけた。暮らし向き悪化の主因は物価高にあり「社会保険料率の上昇で若者全般が貧しくなった」は誤解と指摘。4人世帯の実質可処分所得を見ると、子育て給付の充実で共働きが一般化した30代は前の世代と比べ伸びた一方、育児のため離職する妻が多かった40~50代は伸び悩んだとデータで説明した。
共働き夫婦のみ世帯の平均年収はフルタイム労働者平均(542万円)の1・4倍で、税・社会保険料負担から給付を引いた実質的な負担率は米欧の共働き夫婦より低い。一方で年収が労働者平均の8割を下回る共働き夫婦の負担率は米欧より高い。子どもが2人いる共働き夫婦も低所得世帯では負担率が高く、日本は働いて社会保険料を納める低所得者の負担が重いことが課題と示した。
そこで「中低所得勤労者の負担軽減」と「就労促進」を目的とし、勤労所得に応じ支援できる「給付付き税額控除」が適切とした。先行した米英の経験から、給付が大きいと誤支給を防ぐ所得資産の精緻な捕捉が求められ、仕組み作りに時間がかかると指摘。まず小規模な簡易版「社会保険料還付付き税額控除」から始めようと提唱した。
働いて所得税を納める人だけを対象とし、全員の税額から一定額を控除。控除しきれない低所得者は本人が納めた社会保険料の範囲内で残額を給付する。年末調整と確定申告の仕組みを使えば、早ければ2027年から実施できる。低所得者の社会保険料負担が軽くなるので被扶養配偶者が社保適用を避けて就労を抑える「年収の壁」の解消に役立つ。食料品消費額が大きい高所得者ほど恩恵が大きい食料品消費税率ゼロと比べ、所得再分配機能があることも長所と説明した。
ゲスト / Guest
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是枝俊悟 / Shungo KOREEDA
大和総研主任研究員 / Senior researcher, Daiwa Institute of Research
研究テーマ:給付付き税額控除と社会保障
