2026年04月09日 13:30 〜 15:00 9階会見場
「高市現象と日本の政治」(3) 伊藤昌亮・成蹊大学教授

会見メモ

伊藤昌亮・成蹊大学教授が、メディア研究・社会学の立場から、ネットにおいて高市支持が広がる構造や有権者の意識における対立軸の変化など、高市現象の背景についての考察を示した。

 

司会 内田恭司 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

対立軸「新旧」「上下」に変化

本杉 美樹 (TBSテレビ選挙本部)

 本会見は「高市現象」を、単なる政治現象ではなく、社会の側の〝もやもや”と結びついた社会現象として捉え直すものだ。伊藤教授はその背景として、「ショート動画による政治の『自分ごと』化」と、「左右対立から新旧対立・上下対立への変化」の2点を挙げた。

 まず伊藤教授は、「高市現象」を支えたショート動画の多くが政策ではなく、高市氏のキャラクター性を借りた自己啓発的な内容だったと指摘。こうした動画が政治的判断に影響した可能性があるという。背景にあるのは政治の「自分ごと」化だ。これまでの政治参加は「社会をいかに良くするか」が中心だったが、ショート動画を通じて若者などの参加が進み、「自分がいかに良く生きるか」という目線が強まった。低成長の時代に「成長したい」と願う層が、高市氏の端的な語り口や前向きなイメージに共感し、積極財政なども「自分を応援してくれる政策」と受け止められたとみる。

 さらに伊藤教授は、いま前面に出ているのは「右か左か」ではなく、「古いか新しいか」という新旧対立だと分析する。世代間格差への不満やデジタル化の遅れへのいら立ちを背景に、高市氏は「右」よりも「新しい側」として受け止められた面が大きいという。

 加えて、富裕層と貧困層の明白な格差ではなく、中間層の内部で広がる「あいまいな格差」をめぐる上下対立も強まっていると指摘。円安や物価高のなか、恩恵を受けにくいロウアーミドル層の不満が蓄積し、再分配より減税や積極財政を求める声が高まった。高市氏が訴えた「生活保護より少し上の層」への支援も、そうした層に響いた可能性がある。従来の左右対立の物差しだけでは、いまの有権者の動きは見えにくいと伊藤教授は分析する。

 高市現象は、左右対立ではなく、新旧対立と上下対立の中で広がったという見立てが印象に残った。

 


ゲスト / Guest

  • 伊藤昌亮 / Masaaki ITO

    成蹊大学教授 / professor, Seikei University

研究テーマ:高市現象と日本の政治

研究会回数:3

ページのTOPへ