会見リポート
2026年04月23日
12:30 〜 13:30
9階会見場
再審制度見直し「証拠の目的外使用禁止」再考を:袴田ひで子さん、小川秀世さん(袴田巖さんの弁護団事務局長)、司法情報公開研究会共同代表 会見
会見メモ
刑事裁判をやり直す再審制度の見直しに向けた政府の刑事訴訟法改正案は、自民党での事前審査で異論が相次ぎ、政府が法案の修正を迫られる事態となっている。
政府法案の中に盛り込まれた「証拠の目的外使用禁止」規定の再考を求め、再審無罪が確定した袴田巖さんの姉・袴田ひで子さん、袴田巖さん弁護団で事務局長を務める小川秀世さんと司法情報公開研究会共同代表の江川紹子さん、福島至さんが会見した。
司会 江木慎吾 日本記者クラブ専務理事・事務局長
※写真左から江川さん、小川さん、袴田さん、福島さん
会見リポート
証拠の使用制限案に批判相次ぐ
足立 大 (読売新聞社論説委員)
再審制度の見直しに向けた法務省の刑事訴訟法改正案のうち、検察から開示された証拠の目的外使用を禁じる規定の創設について、会見の出席者から「規定は必要ない」とする意見が相次いだ。
この規定は、開示された証拠を再審請求の手続き以外に使うことを禁じるもので、請求人や弁護士が証拠のコピーを他人に渡したり、提示したりした場合、懲役刑が科される可能性がある。事件関係者の名誉やプライバシーを守るためだとされる。
1966年の静岡県一家4人殺害事件では、血痕のついた5点の衣類のカラー写真などが再審の証拠とされ、袴田巌さんの再審無罪につながった。弁護団事務局長を務めた小川弁護士は会見で、「こうした証拠や取り調べの録音テープを公表してもプライバシーの問題などは何もなかった」と述べた。
刑法には、既に名誉毀損罪が規定されている。プライバシーの侵害が生じた場合には、民法に基づいて損害賠償を請求できる仕組みもある。小川弁護士は「問題が起きた際に個別に対応すればよく、全てに網をかけて処罰するような規定は絶対に許されない」と語った。
袴田さんの事件では重要な証拠が検察から開示されず、再審手続きに40年を超える歳月を要した。袴田さんの姉、ひで子さんは「検察が都合の良いように制限する」と不信感をあらわにして規定に反対した。
今回の制度見直しの出発点は、袴田さんの事件をはじめ数々の冤罪への反省がある。龍谷大学の福島名誉教授は、教訓をふまえた改正案になっていないと指摘したうえで、「目的外使用を禁じると、誤判の救済活動が萎縮する。民主主義社会では情報公開が非常に重要だ。情報の蛇口を絞ってはいけない」と訴えた。
規定を巡っては、改正案を審査している自民党の会議でも削除を求める声が相次いでいる。
ゲスト / Guest
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袴田ひで子 / Hideko HAKAMATA
再審無罪となった袴田巖さんの実姉
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小川秀世 / Hideyo OGAWA
弁護士、袴田巖さんの弁護団事務局長
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江川紹子 / Shoko EGAWA
司法情報公開研究会共同代表、ジャーナリスト
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福島至 / Itaru FUKUSHIMA
司法情報公開研究会共同代表、龍谷大学名誉教授・フェロー、弁護士
