会見リポート
2026年04月15日
14:30 〜 16:00
10階ホール
「高市現象と日本の政治」(4) 朴喆熙・国際文化会館特別顧問、前駐日韓国大使
会見メモ
米コロンビア大学で「現代日本政治研究」により政治学の博士号を取得。日本の政治や外交政策、日韓関係を専門とする。2000年に刊行した『代議士のつくられ方-小選挙区の選挙戦略』(文春新書)では、小選挙区比例代表併用制導入後、初の選挙となった1996年の衆院選で東京17区に出馬した新人候補、平沢勝栄さんの選挙戦を密着取材した。2024年8月から2025年7月まで駐日韓国大使を務め、現在は国際文化会館の特別顧問を務める朴喆熙さんが、政治学者の立場から、高市現象をもたらした要因や日本の政治のいまと今後について、見解を述べるとともに、世界情勢が不安定さを増す中での日本と韓国、そして米国との関係のあり方などについて話した。
司会 澤田克己 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)
会見リポート
流動化し感性で動く有権者
峯岸 博 (日本経済新聞社上級論説委員兼編集委員)
前駐日韓国大使の朴喆熙氏は韓国における日本研究の第一人者だ。2025年7月の離任後も東京を拠点に永田町を鋭く観察している。会見は冒頭発言から質疑応答まで流ちょうな日本語で応じた。
2月の衆院選で自民党が歴史的な大勝をおさめたのを「高市現象」と表現。初の女性首相、非世襲議員、強いリーダー像、「働いて、働いて、働いて……」に象徴される響くメッセージ、SNSを活用した発信力などを挙げた。
30年前の衆院選で自民党候補に密着し政治力学を研究した経験をもつ。当時と比べた組織選挙の後退や日本社会の構造的な変化にも言及。支持政党をめぐり「有権者全体が流動化し、論理的より感性で動く傾向が強まる。SNSをうまく活用できるかが選挙結果に影響する現象が増えていく」との見立てだ。
韓国ではネット空間で自発的に集まりファンクラブのように特定政治家を熱烈に支持する「ファンダム政治」の功罪が話題となってきた。
「ファンダム政治は支持が簡単に崩れない半面、同じ社会に住みながら『彼らは我々の敵』となる。互いに話もできない状況になれば国内が両極に分断される」「そこまで至らないよううまく管理するのが大事だ」と日本政治に警鐘を鳴らした。
首相人気の高さに野党勢力の分裂も加わり、自民党優位の状況が続くとみる。一方で首相は会食や党側との話し合いが少なく、自前のグループも持たない不安要素に触れ「何らかの原因で人気が落ちた時に自民党内で助けようというグループが出てくるのか。孤独の首相になるのではないかと心配だ」と懸念も示す。
すさまじい権力闘争を繰り広げる韓国から日本の政局はどう映るか。「安定しているのはよいが、政権が代わらないのは緊張感が足りず、他のアイデアが出ない。韓国と日本は互いに学び合うことが必要だ」。前大使らしく会見を締めくくった。
ゲスト / Guest
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朴喆熙 / PARK Cheol-Hee
前駐日韓国大使、ソウル大学名誉教授、国際文化会館特別顧問
研究テーマ:高市現象と日本の政治
研究会回数:4
