会見リポート
2026年04月02日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(5) 鈴木一人・東京大学大学院教授
会見メモ
イスラエルとアメリカによるイランに対する先制攻撃から1カ月。2013年から15年に国連安保理イラン制裁専門家パネル委員を務めた国際政治学者の鈴木一人・東京大学大学院教授が、今回の紛争の背景を歴史の流れから振り返るとともに、アメリカ、イスラエル、イランの状況、事態収束に向け何が必要となっているのか、紛争が世界に与える影響などについて話した。
「アメリカが撤退しても、イスラエルの攻撃をやめさせない限りホルムズ海峡の封鎖がとけることはない」「イスラエルには自らの脅威を排除するという強い執念がある」。過去イスラエルの戦争を止める役割を担っていたアメリカが、自ら参戦したことは、戦争を止める存在の不在を意味すると解説した。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
ホルムズ開放「カギはイスラエル」
山越 綾乃 (時事通信社国際報道部)
米イスラエルとイランの軍事衝突は泥沼化の様相を呈し始めた。東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授は、イランが事実上封鎖する原油輸送の要衝ホルムズ海峡について、開放に至るカギはイスラエルにあると強調。米国が撤退してもイスラエルが対イラン攻撃をやめない限り、封鎖状態が数年続く可能性もあり得るとの見解を示した。
鈴木氏は、イスラエルが建国以来、国として生き延びることに執念を燃やしてきたと解説。特に2023年10月にイスラム組織ハマスの奇襲を受けて以降は、自身の脅威を能動的に排除する「拡大された自衛権」を行使し始めたとし、その上で、レバノンの親イラン・イスラム教シーア派組織ヒズボラとの長年にわたる交戦を例に挙げ、イスラエルとイランの軍事衝突が「数年かかってもおかしくない」と述べた。
一方、米国はトランプ政権への審判となる中間選挙を11月に控え、それまでに戦闘を終結させるとの見方がある。これに対し鈴木氏は、イラク戦争やアフガニスタン戦争に触れ「過去の事例から見ても、中間選挙があるからといって戦争が終わるとは限らない」と指摘。「それよりもイスラエルにどうやめさせるかが重要だ」と訴えた。
米イスラエルに軍事力で劣るイランにとって、ホルムズ海峡を封鎖状態に置くことは「最も有効なカードだ」と鈴木氏。海峡封鎖が長期化すれば、1970年代の石油ショック時を超える「歴史的な原油共有の混乱が起きる」と予想した。備蓄が乏しい東南アジアでは停電や公共交通機関が止まることが想定され、現地に進出する日本企業も影響を受けるとして、日本は国際社会と協調して、攻撃を停止するよう米イスラエルに働き掛けることが必要だと語った。
ゲスト / Guest
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鈴木一人 / Kazuto SUZUKI
東京大学大学院教授
研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響
研究会回数:5
