2026年04月10日 13:00 〜 14:00 10階ホール
中満泉・国連事務次長・軍縮担当上級代表 会見

会見メモ

中満泉・国連事務次長・軍縮担当上級代表が、核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議(4/27~5/22)を前に、この会議の見通しなどについて話し、記者の質問に答えた。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

NPT空洞化に危機感

軍司 泰史 (共同通信社論説委員)

 核軍縮や不拡散の進め方を議論する核拡散防止条約(NPT)の再検討会議は2015年と22年、いずれも最終文書を採択できなかった。4月27日からの新たな再検討会議を前に、国連事務次長(軍縮担当)の中満泉さんが記者会見で語ったのは、現状への強烈な危機意識と、それでも最後まで諦めないという使命感だった。

 「核軍縮は悪化の一途をたどっていると言っても過言ではない」

 中満さんはポスト冷戦期が終わり、軍拡競争が始まる中での会議開催の難しさについて、こう語った。ウクライナに侵攻したロシアが繰り返す「核の威嚇」。中国も核軍拡を進め、3月にはフランスが核弾頭の増強に言及した。2月には、米国とロシアの間に残る唯一の核軍縮合意、新戦略兵器削減条約(新START)が失効した。

 こうした状況を前に、特にグローバルサウスの非核保有国が、「NPTなどあっても、結果を出せない。紙の上の言葉に過ぎない」というシニシズム(冷笑主義)に陥り、条約が空洞化してしまうことが大きな問題だと言う。

 「米イスラエルのイラン攻撃のように、核開発をやめさせるとの理由で軍事力行使は許されるのかという、NPTの中核に関わる新たな課題も突きつけられた」と中満さんは指摘する。

 ただ、このままでは再検討会議の成功は難しいという危機感が、多くの国に共有されていることは、ポジティブな側面もあるという。議長を務めるベトナムのドー・フン・ビエット国連大使は、シニシズムを覆すためにグローバルサウスの意見をきっちり聞くことを重視している。

 中満さんは「正直言って今回、野心的な結果を出すことは難しいかもしれない」としつつ、優先項目に絞ってでも成果を示す文書を「諦めずに最後まで出せるようにしていく」と決意を語った。


ゲスト / Guest

  • 中満泉 / Izumi NAKAMITSU

    国連事務次長・軍縮担当上級代表 / Under-Secretary-General and High Representative for Disarmament Affairs, United Nations

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