2026年04月06日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」(6) 田中伸男・元国際エネルギー機関(IEA)事務局長

会見メモ

イスラエル・米国によるイラン攻撃は、世界のエネルギー供給にどのような影響を与えているのか、2007年から11年まで国際エネルギー機関(IEA)事務局長を務めた田中伸男さんが、エネルギー地政学から見る各国の動き、今後の展望について話した。

 

司会 奥村茂三郎 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

イラン情勢の裏に米中反目

岡田 美月 (産経新聞社外信部)

 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、国際エネルギー機関(IEA)加盟国は3月、計4億バレルの石油備蓄の協調放出で合意した。IEAの協調放出はロシアがウクライナを侵略した2022年以来。田中伸男・IEA元事務局長は4月6日の記者会見で、今回の協調放出は22年の1億8千万バレルの2倍を超え「過去最大だ」と述べた。ただ、協調放出は「時間稼ぎの措置」に過ぎず、IEAが3月と同規模の協調放出を計画する場合、実施できる回数は残り4回だと指摘した。

 田中氏は中東産石油の約8割がアジア向け輸出であり、イラン情勢は「アジアでの石油危機」を引き起こしたと述べた。また、米国に対抗する中国は国家安全保障戦略として、米国や中東へのエネルギー依存の低減を進めていると指摘。中国人民解放軍のある将軍が最近、田中氏に対し、中国が再生可能エネルギーなどを推進する目的は、環境対策ではなく安保戦略だと語っていたという。

 中国は再エネを推進し、世界の重要鉱物のサプライチェーン(供給網)を支配するなど「あらゆる産業政策を動員」し、米国や中東のみならず、密接な関係を維持するロシアへの脱エネルギー依存を徹底する狙いがあると、田中氏は強調した。

 一方、米国では06年以降、掘削が困難とされていた深い地層からの「シェールガス」の生産が本格化。トランプ米大統領は25年の大統領就任式で国家エネルギー緊急事態を宣言し、「掘って掘って掘りまくれ」と述べて石油と天然ガスを増産する方針を表明した。

 田中氏はトランプ氏が「ペトロステート(石油国家)への復帰」を目指す構えを示したとして、産油国のサウジアラビアやロシアとの関係強化を通じ、石油国家と呼ばれる一群の中で指導的地位の確立を狙っているとする自身の仮説を披露した。


ゲスト / Guest

  • 田中伸男 / Nobuo TANAKA

    元国際エネルギー機関事務局長 / former executive director, International Energy Agency (IEA)

研究テーマ:イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響

研究会回数:6

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