2021年04月21日 13:30 〜 14:30 10階ホール
「新型コロナウイルス」(59) 茂松茂人・大阪府医師会会長

会見メモ

大阪府は20日、新型コロナウイルスの感染急拡大による医療提供体制の逼迫を受け、政府に緊急事態宣言の発出を要請した。

大阪府医師会会長で府の新型コロナウイルス対策本部専門家会議委員を務める茂松茂人氏がリモートで会見し、変異株、第4波による感染状況、医療体制の現状、今後必要となる施策などについて話した。

司会 黒沢大陸 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

若年の重症者増え病床足りず

田村 良彦 (読売新聞社メディア局専門委員)

 記者会見が行われたのは、3度目の緊急事態宣言が出される直前の4月21日。連日1000人を超える感染者の激増が伝えられる大阪の現状が、府医師会長の茂松茂人氏から生々しく語られた。

 感染者数の激増は重症者数の増加に直結し、会見時点で200余りの重症者用病床に対し、重症者の数は300人を超える。あふれた重症者は軽症・中等症用の病床で受け入れているという。大阪府全体の集中治療室(ICU)の数は約500。このまま行くと、大型連休中には重症者数は400人を超えるとの厳しい見通しが示された。

 兵庫をはじめ隣県でも患者は増えており、県境を越えた入院はそう簡単ではないだろう。「受け入れ可能な民間病院には1床でも2床でも増床をお願いしたい」との茂松氏の言葉に、切迫した医療状況が強く感じられた。

 全国的に民間病院の患者受け入れが少ないと指摘される中で、茂松氏は大阪での民間病院が果たしている状況について説明した。公立・公的病院が約3割に対し、民間病院が7割近くの患者を受け入れている。重症に限っても3割が民間という。大阪では従来、民間が救急医療に大きな役割を担っているが、医療体制を考えるうえで地域ごとの特徴を踏まえることの意味を改めて認識させられた。

 変異株を中心とする第4波は、これまでの流行とは様相を異にする。若年者層の感染者、重症者が増えていることに加え、肥満や喫煙者で重症化しやすい傾向がみられるなどの知見が示された。高齢者への感染拡大を防ぐため、若者を初めとした人の流れを止めることの必要性が強調された。

 4月25日、4都府県への緊急事態宣言が出された。全国的な感染の拡大も続いている。大阪の経験から学ぶべきことは大きい。


ゲスト / Guest

  • 茂松茂人 / Shigeto Shigematsu

    大阪府医師会会長 / Chairman, Osaka Medical Association

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:59

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