2025年06月03日 11:00 〜 12:00 9階会見場
ムハンマド・アル・アムール・パレスチナ自治政府国民経済相 会見

会見メモ

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が続き、ヨルダン川西岸でのイスラエルによる入植も拡大している。

パレスチナ自治政府のムハンマド・アル・アムール(Mohammed Al-Amour)国民経済相が会見し、ガザ地区やヨルダン川西岸の状況を伝えるとともに、イスラエルによるジェノサイドを止め、2国家解決を実現させるため、日本や国際社会が働きかけを強めるよう求めた。

アムール国民経済相は6月1日に関西・大阪万博で開催されたパレスチナのナショナルデーのイベントに参加。翌2日には、岩屋毅外相と会談している。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)

通訳 西村好美 サイマル・インターナショナル


会見リポート

「今こそ国家の承認を」

久門 武史 (日本経済新聞社編集委員)

 イスラエルによるパレスチナへの攻撃を終わらせることが最優先だと訴えた。「ジェノサイド(大量虐殺)が起きている」と非難し、国際社会にイスラエルに対する圧力を強めるよう求めた。

 パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が1年半を超えるなかでの記者会見となった。英仏などがイスラエルにガザ侵攻停止を求めたように、停戦圧力は強まっている。「単に声明を出すのでなく、直接的な行動をとってほしい」と力説した。

 ヨルダン川西岸地区の苦境にも光を当てた。イスラエルがユダヤ人入植地を拡大し、水などの資源を独占しているといった例を挙げ「パレスチナ国家ができないよう支配の手段を駆使している」と非難した。

 ガザの惨状に目を奪われがちだが、ヨルダン川西岸もイスラエル軍の作戦や入植者の暴力に苦しんでいることを忘れてはならないとの訴えだ。パレスチナ自治政府の財政難についても説明した。

 パレスチナはガザをハマスが実効支配し、ヨルダン川西岸を自治政府が統治する分裂状態が続いてきた。ガザではハマスがなお影響力を保つが、自治政府には既に復興計画があるとし「ガザを管理する用意ができている」と述べた。復興に「日本の協力、参画を確信している」とも語り、1953年から続く日本のパレスチナ難民支援を高く評価した。

 中東の将来をどう描くかは難題だ。「平和裏にイスラエルと共存できるよう、今こそ国際社会はパレスチナ国家を承認するときだ」と強調した。「2国家解決」を唯一の道とみなす。しかしイスラエルが応じる兆しはない。

 6月1日に大阪・関西万博を訪れ、パレスチナのナショナルデーに参加した。「大成功だった」と頰を緩ませた。


ゲスト / Guest

  • ムハンマド・アラムール / Mohammed Al-Amour

    パレスチナ自治政府国民経済相 / Minister of National Economy

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