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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■謎と恐怖の楽園で ミステリー批評55年

権田 萬治(日本新聞協会出身) ▽二足のワラジの集大成 『松本清張 時代の闇を見つめた作家』(文藝春秋)を出してから6年。二足のワラジで続けていたミステリー批評も今年で55年になる。そろそろ〈終活〉の時期と考えて、これまで書いた現代ミステリー論、作家論、論争、対談、作品論、自筆年譜などをまとめて1冊にしてみた。 松本清張、佐野洋をはじめ最近の堂場瞬一など、新聞界出身の作家も多いが、ミステリーにご関心のある会員各位にもぜひ読んでいただきたいと願っている。
光文社 / 3240円 / ISBN 433497838X

■ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱

三好 範英(読売新聞編集委員) ▽何事も表があれば裏がある 当クラブの会見に時々おじゃましているが、ゲストがドイツの人間だと必ず出る質問が、「ドイツは模範。日本に何かアドバイスを」。最近読んだ本には、「ドイツの労働効率性は高い。日本も学ぶべき」とあった。「何があっても午後5時ぴったりに帰宅する」社会は、サービス不在の不快社会を意味することは、ちょっと想像すれば分かりそうなものだが。何事も表があれば裏がある。本書で取り上げた、ドイツの脱原発、ユーロ問題、歴史認識問題なども同じ。世界のどこにも理想の国などない、という日本人の自覚の一助になれば幸いである。
光文社新書 / 907円 / ISBN 4334038794

■大村智 2億人を病魔から守った化学者

馬場 錬成(読売新聞出身) ▽ノーベル賞受賞を予言して的中させた本  新聞記者の勘が当たった。大村智博士がノーベル賞受賞者になると確信したのは2011年である。文藝春秋社の「2013年の論点」の中で「オンコセルカ症の特効薬の貢献ということなら単独で生理学・医学賞受賞もあり得る」とズバリ予言していた。  取材の端緒は荒井寿光・元特許庁長官の示唆だった。大村博士の産学連携活動を世の中に紹介するのが、ジャーナリストの仕事だと言う。大村博士が特許ロイヤルティーで250億円を研究現場に持ってきた実績もすごいが、取材を掘り下げていくうち天然有機化合物の研究でもっとすごい業績を挙げていることを知った。これはノーベル賞ものだ。  ノーベル賞を研究してきた筆者は、業績内容を知ると受賞できるかどうかが分かる。勘である。荒井さんに認めてもらうため『大村智』を上梓し勘を世に問うた。受賞後に大村博士のすごい業績だけでなく、魅力あふれる人柄が世に知れ渡った。そのほうがもっとうれしかった。
中央公論新社 / 2268円 / ISBN 4120043266

■インドの社会と名誉殺人(チャンダー・スータ・ドグラ著、鳥居千代香訳)

鳥居 千代香(帝京大学外国語学部教授) ▽私的制裁を追う 名誉殺人とは、親が決めた相手との結婚を拒んだり、共同体の掟に反する相手と結婚を希望したり、結婚した女性や相手の男性が「名誉を汚した」と家族や部族の長老の決定で殺される私的制裁のことである。インドでこの種の事件は多いが、初の有罪判決が下され、現在なお最高裁判所で係争中の事件をジャーナリスト(女性)が身を危険に晒しながら追う。  インド最大の通信社PTIでも同様の事件が起きた。同社で働く男性ジャーナリストの婚約者が実家で命を落とした。彼女もジャーナリスト。2人とも最上位のバラモン階級のカーストであったが、その内部の身分が男性の方が低かったのが原因だと言われている。
つげ書房新社 / 2700円 / ISBN 4806806773

■日本はASEANとどう付き合うか:米中攻防時代の新戦略

千野 境子(産経新聞出身) ▽ASEANの流儀を知る インドネシアの高速鉄道受注合戦で日本は中国に敗れた。でも親日でODA最大の受取国なのにと怒ってもダメ。国益優先は日本も同じなのだから。これは東南アジア諸国連合(ASEAN)にも当てはまる。  米中攻防の太平洋を舞台に、米中も日本も大事とサバイバルを図るASEANの流儀とは。設立の背景や争わぬ仕掛け、加盟国の対中・対米観の深層などを書きつつ、ますます重要になるASEANと日本の最善の関係構築に向け、提言も試みた。
草思社 / 1944円 / ISBN 4794221576

■美智子さま マナーとお言葉の流儀

渡邉 みどり(日本テレビ出身) ▽人を大切に想う心72のエピソード  世の女性たちに、美智子さまから眞子さま・佳子さまへ引き継がれる「人を大切に想う心」をお届けしたい。  そんな思いから本書は生まれた。 皇后美智子さまの立ち居振る舞いはいつでも気品に溢れている。  諸外国や被災地への訪問で見せられるお相手を気遣ったお言葉、TPOに合わせたファッション、そしてそのお心を伝える子育てなど、エピソードは合わせて72。私たちの生活にも直結するので、一読してぜひ役立てていただきたい。
こう書房 / 1512円 / ISBN 4769611439

■財務省と政治「最強官庁」の虚像と実像

清水 真人(日本経済新聞編集委員) ▽政と官の一筋縄ではいかぬ力学 タイトルを「財務省」ではなく、「財務省と政治」としたことにはこだわりがある。大蔵・財務省の政策の分析や組織の内幕ものとは違う。首相官邸・国会・与党・霞が関などを包含する統治システムは平成以降、「移りゆく40年」(経済学者の故青木昌彦氏)とも呼べる変革の渦中にある。重要なプレーヤーである同省の動きを軸に、一筋縄ではいかない政と官の力学の変容を、見たままに描いた。四半世紀近く取材してきた政治記者の、どこまでも政治書だ。
中公新書 / 950円 / ISBN 4121023382

■検証 バブル失政―エリートたちはなぜ誤ったのか―

軽部 謙介(時事通信解説委員長) ▽経済記者の反省 1992年1月。私と不動産屋の会話。 「地価が下がり始めていますよね。今マンション買っていいのかな」 「何を言っているんですか。下落もこの辺までですよ。第一、これ以上地価が崩れたら日本経済はおしまいじゃないですか。ハハハ」 この言葉に背中を押されて、売買契約書にサインした。その後、地価下落は続き、不動産屋の言うとおり日本経済は崩壊してしまった。バブルの生成と破裂を見抜けなかった愚かしい経済記者の反省。これが執筆動機です。
岩波書店 / 3024円 / ISBN 4000244795

■核と反核の70年 恐怖と幻影のゲームの終焉

金子 敦郎(共同通信出身) ▽核抑止戦略はフィクション トルーマン米大統領は原爆投下を正当化し続けた。だが実は生涯、後悔にさいなまれて、理性ある人間は核兵器を使うことはできないという言葉を残した。核タブーの始まりとされる。 歴代大統領も、外交・安保政策を担った大統領補佐官や国務省、国防総省・軍部のトップたちの多くも、本心は同じだった。引退後に核廃絶運動に転じた人も珍しくない。 「使えない核」で威嚇する核抑止戦略とは? 広島・長崎の後も核を手放さないためのフィクションだった。
リベルタ出版 / 4320円 / ISBN 490372445X

■〈日本的なもの〉とは何か ジャポニスムからクール・ジャパンへ

柴崎 信三(日本経済新聞出身) ▽グローバル化と「日本らしさ」の相克 プッチーニのオペラ「蝶々夫人」、横山大観が描き続けた富士山、辰野金吾の東京駅と妻木頼黄の日本橋など、20世紀の日本を代表する表象物の成り立ちと受容、反発などをたどって、今日の〈クール・ジャパン〉につながる「日本的なもの」が立ち上がってきた背景を探った。世界遺産の指定や東京五輪の開催をめぐる国内世論の隆盛と、そこに注がれる熱い世界のまなざしの意味を考える上での素材にもなろう。
筑摩書房 / 1728円 / ISBN 448001621X
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