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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■霊長類 消えゆく森の番人

井田 徹治(共同通信社編集委員)

▼ホモサピエンスの責任 環境問題をライフワークとする記者として、中南米、アジア、アフリカの森の中で、ユニークで美しい霊長類を数多く目にし、保護に取り組む研究者に出会った。

 人間に最も近い生物種である霊長類の多くを絶滅の淵に追い詰めているのは「ホモサピエンス(賢いヒト)」を自認する人類の行いだ。「このままでは今世紀は霊長類大絶滅の時代になってしまう」―。そんな危機感を込めて1冊の本を書いた。


岩波新書 / 1102円 / ISBN 4004316626

■記者と権力

滝鼻 卓雄(元読売新聞東京本社社長、元日本記者クラブ理事長)

▼記者の仕事とは、その使命感いまこそ いま新聞、テレビ、インターネット系メディアを通して、世界や日本の出来事に接していると、どうしてもニュースに対する満足感が得られない。

 もちろんニュース現場の記者たちは、懸命に事件に立ち向かい、最適な事実を伝えようとしているだろう。でも隠された事実まで到達していないのでは、と心配をしている。命懸けで取材してほしいといっても、生命を危険にさらすことだけを求めているのではなくて、あらゆる権力に向かって、身体を張って、隠された真実をつかんできてほしいと願っている。

 言論に対して逆風が吹いているというのであれば、その風に向かって身体を突っ込み、真実をもぎ取ってくるのが記者の仕事。その使命感をいまこそ自覚したい。


早川書房 / 1620円 / ISBN 4152096802

■挑戦する世界の通信社~メディア新時代に(「世界の通信社研究会」編)

倉沢 章夫(新聞通信調査会編集長)

通信社は、新聞、テレビなどの報道機関や民間企業にニュースを提供するのを事業とする組織であり、「ニュースの黒子」「ニュースの問屋」などと言われてきた。一般の読者や視聴者の目に直接触れることがなく、その報道活動はあまり知られていない。また、ひと口に通信社と言っても、世界を見渡すと事業形態はさまざまだ。

本書は、世界の主要な通信社を対象に組織、事業、歴史、編集方針、将来戦略、提携関係などについて詳述している。日本の共同、時事はもとより、欧米、アジア、中東など世界各地域の通信社を現地で取材し、それらを基にアップデートな内容としている。特に、ネットメディア隆盛のデジタル時代に通信社がどのように進むべきか各社の幹部にインタビューして話を聞いている点は、興味を引くのではないだろうか。このような世界の各通信社を網羅した書は類例がないと自負している。


新聞通信調査会 / 2160円 / ISBN

■サボる政治 惰性が日本をダメにする

坂本 英二(日本経済新聞社編集委員)

▼政治が手をつけない問題こそ本質 

 予算のほぼ全てと法律の多くは政府案のまま成立します。国会で与野党は日常的に激しく対決し、接点を見いだす努力はかすんでいます。

 本書は長年の政治取材で痛感した疑問点を広く世に問うのが狙いです。国会は根本問題に手をつけず、立憲政治はゆがみ、今のままなら参院は不要で、日本は選挙が多すぎる――。統治機構の在り方への問題提起には異論反論があるでしょう。そうした議論こそが今の日本には必要だと感じます。


日本経済新聞出版社 / 1728円 / ISBN 4532176166

■「ミヤネ屋」の秘密 大阪発の報道番組が全国人気になった理由

春川 正明(読売テレビ解説委員長)

▼生放送こそテレビの醍醐味

 世の中に極端な言論が溢れ多様性が失われつつある中で、さまざまな見方や考え方を提示することがメディアに求められる。東京に比べて人員も予算も限られた中で、大阪から全国に向けて報道情報番組を発信する重要性は増すばかり。

 「テレビって、テレビ報道って、これほど面白い仕事はない」という想いを胸に、VTR編集マン、報道記者、海外特派員、チーフプロデューサー、報道部長、解説委員と32年間ずっとテレビ報道の世界で働いてきた筆者が、テレビ報道の魅力を紹介する。


講談社+α新書 / 907円 / ISBN 4062729865

■正しいコピペのすすめ 模倣、創造、著作権と私たち

宮武 久佳(共同通信出身)

▼新聞と著作権の関係とは?

 記者だったころ、自分が書いた記事が次から次へとコピーされるのを、「広まることに意義がある」と歓迎していました。しかし、新聞記事や写真にはたいてい著作権があります。私的使用や教育現場などでの例外を除き、企業や団体が新聞を無断でコピーしてはいけません。

 意外にもジャーナリストは著作権をきちんと理解していないのでは? 本書は、記者時代の経験が基になっています。今の私は学生のコピペに悩む教員です。


岩波ジュニア新書 / 929円 / ISBN 4005008496

■落穂拾記―新聞記者の後始末

羽原 清雅(朝日新聞出身)

▼私見私観を楽しむ

 40年間の新聞記者生活を終えたころ、リベラルの立場をとるメールマガジン「オルタ」主宰の加藤宣幸さんに誘われ、月1、2本備忘録代わりに書いた記事が大半で約90本。長い政治記者の経験から、リタイア後の政治の動向が半分、あとは旧任地がらみ、世相、教育など。気が付くと、政治、社会をカーブさせる小選挙区制度の問題点の指摘が多かった。

 政治を「距離」を置いて視る姿勢を自己点検しつつの10余年分だった。


オルタ出版室 / 2016円 / ISBN 4787491156

■熊本地震2016の記憶(岩岡中正、高峰武著)

高峰 武(熊本日日新聞社論説主幹)

▼記録と記憶の中から復興を 2016年4月の熊本地震から間もなく1年。「地震は遭ってみないと分からない」というのが正直なところだ。本書は震度7に2回見舞われた熊本地震を5部構成で考える。

 1部「想う」で熊本在住の評論家・渡辺京二氏は「未来の人間のあらまほしき姿が、惨事の中から立ち現れた」と書く。2部の「詠む」は俳誌「阿蘇」主宰の岩岡中正氏の震災俳句、3部は夏目漱石も通った熊本市の古書店主の震災日記、4部は熊本大学が所蔵する約5万点に及ぶ細川家文書と地域史料から見る震災と復興の地域史、5部は資料編。

 記録と記憶の中から復興を目指す1冊である。


弦書房 / 1944円 / ISBN 4863291493

■里地里山エネルギー 自立分散への挑戦

河野 博子(読売新聞社編集局企画委員)

▼各地の小さいエネルギー利用を、足元から追った そこで出会ったのは、地産地消、防災減災、地域活性化、地球温暖化抑止、安全の確保を念頭に、自然資源を使ったエネルギー利用に挑戦する人たち。その流れは、化石燃料の終焉へ向かう時代の太い底流とつながる。

 米トランプ政権が発足し、全ての国が気候変動対策に取り組むためのパリ協定の力がそがれるのでは、と懸念される。本書を読み、懸念を杞憂に変える流れを感じてほしい。


中公新書ラクレ / 842円 / ISBN 4121505727

■科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体

瀬川 至朗(毎日新聞出身)

▼マスメディア報道の構造的な問題に迫る 新聞・テレビのマスメディア報道はなぜ市民の不信感を引き起こすのか? これが筆者の問題意識です。そのためにSTAP細胞事件、福島第一原発事故、地球温暖化問題という著名な報道事例を検証しました。科学報道を分析していますが、問題はむしろ「マスメディア共同体」の構造にあります。ジャーナリズムの規範とされる「客観報道」の意味を多くのメディア人が誤解してきたことや「公平・中立報道」が抱える根本的な問題点を明らかにすることにも努めました。


ちくま新書 / 950円 / ISBN 4480069275
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