2025年08月04日 13:00 〜 14:30 9階会見場
「アフリカのいまーTICAD9を前に」遠藤貢・東京大学大学院教授

会見メモ

8月20日から22日に第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が横浜市で開催されるのを前に、アフリカ現代政治を専門とする遠藤貢・東京大学大学院教授が登壇。

アフリカの現状と、中国やロシア、UAE、アメリカとアフリカの関係がどのように動いているのかを解説するとともに、世界が不安定さを増す中で日本はどのようにアフリカに向き合うべきなのかなどについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

息の長い信頼関係の構築を

米田 亮太 (共同通信社文化部)

 日本政府が主導する第9回アフリカ開発会議(TICAD)が横浜市で開かれるのを前に、現代アフリカ政治を専門とする東京大の遠藤貢教授が「アフリカのいま」と題して、国々の現状や、地域を巡る大国の動きなどを報告した。

 国連の統計などでは、2050年にも世界人口の4人に1人がアフリカの人になると予測されている。さまざまな資源を有し、人口増加による市場拡大も見込まれる大陸に対して、世界の国々は強い関心を寄せている。しかしながら、日本からの投資は依然としてあまり進んでいないらしい。

 「治安の悪さ」や「まん延する汚職」などが背景にあり、「日本のビジネス風土と相性が合わない面もある」と遠藤教授。「イスラム国」(IS)などが活動するニジェールやマリといった国々を含む「サヘル・アフリカ」と呼ばれる地域が近年特に不安定化していると解説し、そうしたテロ組織が関与する紛争の解決につながるような具体的な知恵が日本にも求められていると訴えた。

 TICADは日本政府が主導し、国連やアフリカ連合委員会などと共催する首脳級の国際会議。アフリカの開発をテーマに1993年に始まった。2000年以降、中国を始め、米国やインドなど多くの国がアフリカ諸国とのサミットを開催してきているが、その先駆けとも言える。

 中国は外相によるアフリカ歴訪を35年連続で続けており、多額の資金援助も行っている。また、近年はアラブ首長国連邦(UAE)の進出も目立ってきているようだ。しかしながら現状では、特定の国がアフリカに強い影響力を及ぼす状況にはなっていないと遠藤教授は分析する。

 日本は政府開発援助(ODA)でも、アフリカ諸国に対する息の長い支援を続けてきた実績がある。例え地味に見えるとしても、そうした取り組みを継続していくことで「信頼を勝ち得てゆくことが重要だ」との言葉に、深くうなずかされた。


ゲスト / Guest

  • 遠藤貢 / Mitsugi ENDO

    東京大学大学院教授

研究テーマ:アフリカのいまーTICAD9を前に

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