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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■愚かな風 忖度時代の政権とメディア

山田 健太(専修大学教授)

▼言論表現の自由を巡る動きを追って

 この15年に何が起きたか――政府批判を偏向視し、対立を煽り、社会を分断する。対話や討議は避けられ、不都合は隠蔽される…。その結果、ジャーナリズムは衰弱し、表現の自由の危機は一層深まった。前著『見張塔からずっと』から続く、琉球新報と東京新聞に連載した約4年分のクロニクルに、戦後から今日までの年表「言論表現の自由を巡る動き」を収めた。それら「過去」が映し出すのは、まさに「いま」の日本社会そのものである。


田畑書店 / 2530円 / ISBN 4803803781

■サステナブルファイナンス攻防―理念の追求と市場の覇権

藤井 良広(日本経済新聞出身)

▼ESG基準化の国際潮流を追跡

 ESG(環境・社会・ガバナンス)やサステナビリティの言葉が国内メディアでも目につく。菅政権の「2050年カーボンニュートラル」宣言は世間を驚かせた。これらの課題実現には、気候変動を含むESG要因の把握・評価が必要だ。リーマンショック以降、グローバルに進むそうした共通基準作りの動きを追いかけるとともに、推進する人々にも焦点を合わせた。非財務の不確実なESG要因を基準化によって「持続可能な金融」の対象にできるか。自らの取り組みも含めて報告する。

 


きんざい / 2530円 / ISBN 4322138489

■日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか

倉重 篤郎(毎日新聞社客員編集委員)

▼反骨の臨床医に問う

 コロナ対策の要諦は、PCR検査の頻回実施と、医療体制の先手拡充にある。世界が目指すこの方向性がなぜ日本では共有されないのか。その謎を解こうとした本です。著者の上昌広氏は、一時は厚労省・感染症ムラ周辺に身を置いたことのある反骨の臨床医。素人の私が、素朴な疑問をぶつけ、一問一答形式でまとめました。ムラの検査利権や旧陸海軍の亡霊など、おどろおどろしい話も随所に散りばめ、「迷走」の真相に迫ったつもりです。


毎日新聞出版 / 1320円 / ISBN 4620326593

■破壊戦 新冷戦時代の秘密工作

古川 英治(日本経済新聞社編集委員、前モスクワ支局長)

▼露の「ダークパワー」を告発

 猛毒による襲撃事件、各国選挙への介入、ネット情報操作とサイバー攻撃、そして政財界要人取り込み工作と黒いカネ…。欧米各国で次々に起きる事件を追いながらこんな仮説を立てた。ハードパワーとソフトパワーで欧米に劣るロシアは「ダークパワー」を駆使して民主社会の破壊を企てている――。手掛かりを求め、人から人をつなぎ、少し怖い目に遭いながら真相を探る取材の現場はスパイ小説風。足りない要素はロマンスか。

 


角川新書 / 990円 / ISBN 4040823753

■崖っ淵に立つ日本の決断 米中〝文明の衝突〟

古森 義久(産経新聞社ワシントン駐在客員特派員) 門田隆将氏との共著

▼米中日三極のうねり、最新報告

 新年を迎えた世界は天下大動乱とも呼べる混乱や緊迫をさらに高めてきた。バイデン新政権登場のアメリカはなお習近平政権の独裁下の中国と対立する。その谷間での日本の身の処し方に国運がかかっている。激しくぶつかる米中両国のどちらに身を寄せるのか。従来の「全方位」とか「橋渡し」という定型の外交パターンは通用しない。長年の米中関係

ウオッチャーと日本の政治や社会の気鋭の考察者とが意見を交わす対論の形で米中日の三極のうねりを最新報告する。


PHP研究所 / 1793円 / ISBN 4569848206

■ルポルタージュ イスラムに生まれて 知られざる女性たちの私生活

金子 靖志

(読売新聞社前エルサレム特派員・現政治部)

▼イスラム圏女性たちの「隠れた姿」 

 黒い布で全身を覆い、スカーフで髪を隠す。日本では珍しい身なりに、距離を感じてしまう人は少なくないだろう。中東やアフリカのイスラム圏の女性たちは、どのような人生を送っているのか。本書は、そんな疑問に答えようと、読売新聞の中東特派員5人が3年かけて取材し、女性たちの「隠されてきた姿」を描いた渾身のルポルタージュである。イスラム圏との関係が強まる日本で必読の一書としてお勧めしたい。


ミネルヴァ書房 / 2640円 / ISBN 4623090213

■連帯の時代 コロナ禍と格差社会からの再生

伊藤 千尋(朝日新聞出身)

▼変革への原動力を描く 

 日本の戦後は終戦から始まったが、イタリアは戦時中に戦後を開始した。統制の時代に市民が蜂起できたのは、縦社会の日本と違って横の連帯の社会を築いたからだ。東欧革命から30年後のドイツを再訪し、「もの言えぬ社会」を覆したライプチヒの若者たちの最初の一歩を紹介する。「歌と人間の鎖」でソ連から独立したバルト三国も。社会格差が広がる世界に拡散したコロナ禍の影響。今や新たな社会変革の手段となったSNSによる「グレタの法則」にも注目した。

 


新日本出版社 / 1870円 / ISBN 4406063366

■記者のための裁判記録閲覧ハンドブック(公益財団法人 新聞通信調査会)

澤 康臣(共同通信出身)

▼現場記者必携の指南書

 裁判の記録は民事も刑事も公開が原則と法律で定められている。憲法が義務づける裁判の公開をより実効あるものにするためだ。だが裁判記録を取材に活用する記者は少なく、とくに刑事裁判記録は閲覧の仕組みも知らない人が多い。世界各国の記者が司法取材や調査報道のため「堅い事実や証言を正確に確認できる資料」として裁判記録を日常的に使うのと対照的だ。英語のジャーナリズムの教科書には取材の基礎ツールとして「裁判記録」の利用法が解説されているのだ。

 本書は日本の記者の手助けにと、司法取材の経験豊富なベテラン記者5人と、裁判の公開に詳しい弁護士が力を合わせて著した。閲覧申し込み方法と流れから、実際の公益に資する報道への活用事例まで詳しく紹介し、読めばすぐ実践できる。記者必携の取材指南書といえる。


新聞通信調査会 / 550円 / ISBN 490708725X

■愛国とナチの間 メルケルのドイツはなぜ躓いたのか

高野 弦(朝日新聞社前ベルリン支局長)

▼「健全なナショナリズム」は可能か 

 G7のリーダーで最長の任期となったドイツのメルケル首相が2021年秋に政界を去る。彼女を追い詰めたのは、何だったのか。反メルケルの政治勢力を取材すると、リベラル民主主義の名のもとで深まった人間の疎外の問題、アイデンティティーへの危機感が見えてきた。かつてこの国を支配した狂気の歴史は、繰り返されるのだろうか。ポストメルケル時代の展望、日本がこれから直面するであろう移民社会の厳しい現実も描いています。

 


朝日新聞出版 / 1650円 / ISBN 4022517239

■にほんでいきる 外国からきた子どもたち(毎日新聞取材班編)

磯崎 由美(毎日新聞社編集編成局次長)

▼「学ぶ権利」見えない格差を追う

 児童が登校しなくなり、親とも連絡がつかない。虐待か、失踪か。行政は現状把握に走る。だがそれが外国籍の子の場合、「就学義務がない」として誰も動かない。

 多文化共生をうたうこの国の「学ぶ権利」に、見えない格差が存在する。その実態に迫ったキャンペーン報道を書籍化した。登校の夢かなわず命を奪われた少女。犯罪に手を染めた少年。通学しても日本語が分からないだけで「発達障害」とされる子たち…。たった2人の取材班は厳しい現実のルポとともに全国調査や情報公開を駆使した報道を続け、国は対策に動き出す。

 「この本を開けば、聞こえてくるはず。たくさんの『ここにいるよ』という声が」。書籍化にあたりフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが寄せた言葉だ。声なき声を伝え、社会を変えていく。そんなジャーナリズムの原点は、ネット時代でも変わらない。2020年度新聞協会賞受賞。

 


明石書店 / 1760円 / ISBN 4750351199
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