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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■香港危機の700日 全記録

益満 雄一郎(朝日新聞社前香港支局長、現コンテンツ編成本部次長兼動画ディレクター)

▼じわり侵食されていく自由

 中国に批判的な香港のリンゴ日報が6月、中国側の圧力で廃刊に追い込まれた。ただ、これは急に起きた問題ではない。拙著では、中国の統治が強まる中、自由がじわりと侵食されていく様子を収めた。日本にも政権による情報隠蔽やメディア選別の動きがある。筆を折らざるをえなかったリンゴ日報の記者の無念さに思いをはせながら、一新聞人として日々の報道に携わっていきたい。リンゴ日報の廃刊は決して「対岸の火事」ではないのだ。


筑摩書房 / 1265円 / ISBN 4480074058

■国境なき時代を生きる 忘じがたき記憶の物語

原野 城治(時事通信社出身)

▼歴史に名を残した先駆者たち

 国境をまたいで生き抜いた先駆者たちの語り継がれる25の逸話集。エルトゥールル号遭難でトルコで最も有名になった山田寅次郎 、日台の絆「烏山頭ダム」に命を捧げた八田與一 、日露戦争を越えて愛されたロシア人・聖ニコライ、米軍人として太平洋戦争を戦った日系2世・ダニエル・イノウエなど、記憶の中に生きる越境者たちを〈再発見〉する。


花伝社 / 1980円 / ISBN 4763409662

■インド社会を変えた事件 社会と司法制度の相互関係

鳥居 千代香訳(元帝京大学教授)

▼インドの社会とは

 2012年12月、首都ニューデリーで起きたニルバヤ集団レイプ事件は、悲惨な事件に衝撃を受け、抗議する男女でインド中が大騒ぎとなり、世界にも報道された。事件後、インドでは女性の安全を守るため多くの法律が制定され、改善に資金が投じられた。既決囚の死刑も昨年3月に執行された。著者ピンキー・アナンドはインド最高裁判所上級弁護士兼法務次官。お嬢さんの助け、励ましを得て本書を書いたという。前記の事件やテロや政治など異なる11の事件を通してインドを知る一冊。


柘植書房新社 / 3300円 / ISBN 4806807389

■絶望の文在寅、孤独の金正恩

重村 智計(毎日新聞出身)

▼朝鮮半島の真実とは

 毎日新聞から韓国に留学して半世紀。韓国留学第1号は朝日の小栗敬太郎さんで、私は二人目。日本の時代精神は、差別意識を韓国にだけ向けた。真実に蓋をし、北朝鮮の軍事独裁や強制収容所、人権弾圧を指摘しなかった。雑誌「世界」と左翼は「韓国」を「南朝鮮」と書き「日本人拉致はない」と主張した。その人々を、文在寅政権は「良心的日本人」と呼ぶ。相互理解は絶望的で、韓国左翼を「金日成思慕者」だと言わない。


ワニブックス / 990円 / ISBN 4847061861

■哀愁 1964年東京五輪三つの物語

別府 育郎(産経新聞社特別記者)

好敵手たちが残した光明

 表題の三つの物語は、円谷幸吉と君原健二、神永昭夫と猪熊功、ベラ・チャスラフスカと遠藤幸雄の3組を指す。好敵手であり、同志であり、親友でもあったそれぞれの交錯と、現在に至るその後の長い物語を追った。

 自刃や早世、弾圧や疾病と、悲劇的な半生や最期ばかりでなく、それぞれが後世に残した光明に、五輪の価値や意義を見いだしたかった。東京五輪が不幸に見舞われる、こんなご時世だからこそ。


ベースボール・マガジン社 / 1760円 / ISBN 4583113803

■ジョークで読む世界ウラ事情

名越 健郎(時事通信出身)

▼ロシア、欧米はジョーク先進国

 問=テロ組織アルカイダとコウモリの共通点は? 答=ともに暗い洞窟に潜伏し、米本土攻撃に成功した。問=習近平主席が失脚すると、周庭さんは? 答=Xi's Jinping with joy. 筆者は世界の政治ジョーク収集を趣味にしており、コロナ禍を含め、日本人が納得できる最新作をネットなどで集めた。日本は川柳が発達し、政治ジョークはまだまだ後発。この分野はロシアや欧米が先進国で、傑作が多い。


日経BP / 990円 / ISBN 4532264618

■ジャーナリストの仕事

齊藤 信宏(毎日新聞社編集編成局次長兼写真・映像報道センター長)

▼現役記者が仕事の心構えを解説

 スマートフォンやSNSの普及で情報過多の時代に突入し、メディアを取り巻く環境は激変しています。フェイクニュースやフィルターバブルといった新たな問題が山積するなか、社会に伝えるべき情報と見解を的確に流し、情報の受け手に思考を促す記者の役割はこれまで以上に大きくなっています。安倍政権の「桜を見る会」問題などを追及した現役記者が、豊富な経験からジャーナリストの仕事内容と心構えを解説しています。


青弓社 / 1760円 / ISBN 4787234900

■2035年「ガソリン車」消滅

安井 孝之(朝日新聞出身)

▼「二つの原罪」克服する好機

 菅政権が2050年までの脱炭素社会の実現を掲げたことで自動車の電動化への動きが加速した。欧米や中国のように一気にEV化へと進むのか、日本の得意なハイブリッド車を温存するのか。どのように脱炭素のゴールを目指すべきかを分かりやすく丁寧に書いた。脱炭素技術と同時に進化する自動運転技術は交通事故ゼロへの挑戦でもある。ガソリン車の消滅は、クルマが100年間抱えてきた環境悪化と交通事故という「二つの原罪」を克服する好機である。


青春出版社 / 990円 / ISBN 4413046234

■十六歳のモーツァルト 天才作曲家・加藤旭が遺したもの

小倉 孝保(毎日新聞社論説委員)

▼天才少年が音楽に託した伝言

 加藤旭さんは専門的指導を受けないまま3歳で作曲を始めました。鳥の声や波の音を曲に変え、小学校卒業までに約500曲を書き上げます。池辺晋一郎さんら多くの音楽家に特異な才能を認められながら、彼は中学2年で脳腫瘍を発症します。光を失い、立てなくなった彼は最後に、「苦しむ人たちの救いになる音楽を」と3曲を書き、旅立ちました。彼の創作活動と、それを支えた家族、友人、教員らとの温かい交流を描いたノンフィクションです。

 


KADOKAWA / 2420円 / ISBN 4041112206

■江戸のジャーナリスト 葛飾北斎

千野 境子(産経新聞出身)

▼人間・北斎像に迫る

 中国のあの戦狼報道官も悪用する、今や世界に冠たる葛飾北斎。しかしその人物像は作品ほどには知られていない。北斎とは一体何者か。生い立ちに始まり、浮世絵師デビューから最晩年までを追った人間・北斎像の結論は、江戸のジャーナリスト。森羅万象への超人的探求心、博覧強記、シニカルな眼差し、鎖国体制下で外界への強い好奇心…時代と世相を見事に切り取った。せめてあと5年生きていたら、ペリーの黒船も描けたのに惜しい。


国土社 / 1540円 / ISBN 4337187642
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