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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■絵画の運命 美しきもの見し人は

柴崎 信三(日本経済新聞出身)

▼美しい名画の流転を巡る秘話 

 副題は詩人プラーテンの「美しきもの見し人は はや死の手にぞわたされつ」による。皇帝溥儀のもとから歴史に翻弄された名画、三島由紀夫が愛したヴァトーの雅宴図、犯罪者カラヴァッジョの名作の謎、鏑木清方の「築地明石町」と樋口一葉など、カンバスの裏に秘められた物語をたどる。豊富なカラー図版と紙の本ならではのフォントやデザイン、フォルトゥーニの表紙や造本の美しさも魅力だ。


幻戯書房 / 3080円 / ISBN 4864881944

■記者失格

柳澤 秀夫(NHK出身)

▼記者として、どう在るべきか 

 43年間記者を続けてきても、自らの不甲斐なさを思い知る日々。しかし、それは重ねてきた経験を否定するものではない。見ている世界が全てではないこと、迷うことを恐れず多様な見方に謙虚であること、現実は一言でくくってはならないということ。つまり、そこにいる人やそこにあるものと向き合い、伝える責任を負う者としての「前提」を、その都度噛み締め、また新しい世界が開けるからだ。そんな著者の考え方のルーツをたどる一冊。

 


朝日新聞出版 / 1540円 / ISBN 402331871X

■「春秋」うちあけ話

大島 三緒(日本経済新聞社論説委員会)

▼コラム書きの想いをコラム風味で綴る 

 日経1面コラム「春秋」を担当して15年。この短文を紡ぐなかで胸に降りつむ想いを、コラムの歴史や逸話にも触れつつ開陳してみた。

 とげとげしい言説が飛びかう時代に、新聞コラムは「小文字」で世間を語る。辛辣な言葉も静かに心に忍びこませようとする。そんな550字をめぐる物語が満載だ。文章づくりの苦心、よく登場する作家の話、図書館のありがたさ、ネットとのつきあい方…。コラム風味の軽やかな叙述で読ませる一冊である。


日本経済新聞出版社 / 968円 / ISBN 4532264219

■会社は誰のものか 経済事件から考えるコーポレート・ガバナンス

加藤 裕則(朝日新聞社経済部)

▼複雑怪奇な企業法務、会計監査 

 「会社は寝なくていい、食べなくてもいい。何をしでかすかわからない怪獣のような存在だ」。経済評論家の奥村宏さん(故人)の言葉だ。会社は何のためにあるのか。誰のものなのか。筆者は1999年、通産省クラブでコーポレート・ガバナンスの取材を始めて以来、この答えを探し続け、この本を書き上げた。オリンパス、東芝、日産、関電といった不祥事も取材。会社法と金融商品取引法など複雑怪奇な企業法務や会計監査の現状を批判した。


彩流社 / 1870円 / ISBN 4779171067

■アメリカの制裁外交

杉田 弘毅(共同通信社特別編集委員)

▼自己満足に陥った米国 

 経済制裁を抜きに世界は語れない。北朝鮮、イラン、中国、ロシアと、トランプ米大統領は何かと制裁を科す。その件数は歴史に残る伸び方。今や米国の対外政策は、外交も軍事も出番なく、お手軽な制裁で「敵」をたたくという自己満足に陥った。ドルの力をテコにした金融制裁は日本企業にも法外な罰金を命じる。しかしこの制裁偏重は、ドル決済の回避をあちこちで生み、ドル覇権が終わる日の到来を早める。その時米国は本当の意味で普通の国に。そんな予想を心に書き上げました。


岩波書店 / 924円 / ISBN 4004318246

■秘密資金の戦後政党史 米露公文書に刻まれた「依存」の系譜

名越 健郎(時事通信出身)

▼米ソの対日秘密政治工作を解明 

 外国人や外国組織から政治資金を受けることは、政治資金規正法に違反するが、冷戦時代に活動した自民党、民社党、社会党、共産党、公明党のうち、公明党を除く4党が米ソ両国から秘密資金を受けていたことを、米ソ両国の公文書で立証した。50〜60年代は与野党対立や思想戦が激しく、日本の進路も不透明だったが、各政党が安易に米ソから資金を受けていたことは、国民を欺き、民主政治の発育不良につながったといえる。


新潮社 / 1650円 / ISBN 4106038501

■米中激突と日本の針路

古森 義久(産経新聞社ワシントン駐在客員特派員)

矢板明夫同台北支局長との共著

▼米中対立、新型コロナ 第一線からの報告 

 なぜアメリカと中国は対立し、衝突するのか。その結果、日本はどうするべきなのか。米中激突の日本への影響とはなにか。そしていま世界を揺さぶる中国発の新型コロナウイルス感染症はアメリカ、中国、日本の関係をどう変えていくのか—本書はこうした重大テーマに現地の第一線からの光を当てている。

 アメリカと中国と、それぞれの取材体験の長い記者二人が実体験と洞察を基に対談、対論の形で自由かつ詳細に伝える最新の報告である。とくに武漢から始まったウイルス感染のレポートは生々しい。


海竜社 / 1760円 / ISBN 4759316965

■明治長崎清国水兵暴行事件

橋本 秀一(NHK出身)

▼歴史に埋もれた事件に迫る 

 明治十九年夏、長崎に清国北洋艦隊の四隻が入港した。上陸した水兵四百人は長崎市内を暴れまわり、警察官と「小戦争」を繰り広げた。警官側は二名が殺害され、二十七名が負傷。清国側も八名が死亡、四十二名が負傷した。事件処理をめぐる日清外交交渉では、清国の海軍力を恐れた日本が譲歩し、喧嘩両成敗の形で処理された。地元紙「鎮西日報」の記事を軸に、発生から交渉妥結、その余波までの一連の動きを、七百頁の本書で再現した。


ブックコム / 3520円 / ISBN 4910118039

■ニュースは「真実」なのか「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」記念講座2019

瀬川 至朗 編著(個人D会員)

▼優れたジャーナリストの手法を学べる一冊

 2018年秋の早稲田ジャーナリズム大賞の審査は長引いた。「力作ぞろい」だったからである。結果、計6作品という過去最多の受賞作が生まれた。森友・加計、自衛隊日報隠蔽、インパール作戦、旧優生保護法というと分かってもらえるだろう。共通するのは、多面的に「ファクト」を追求し検証する姿勢である。本書は受賞者らを講師とする2019年の記念講座の講義録。「読み応えがあり、大きな仕事の仕方を学べて勉強になる」という評価をいただいている。


早稲田大学出版部 / 1980円 / ISBN 4657190253

■ルポ沖縄 国家の暴力 米軍新基地建設と「高江165日」の真実

阿部 岳(沖縄タイムス社編集委員)

▼地元紙の視点で密着取材

 「辺野古」に比べ、「高江」は知名度が低い。全国メディアもほとんど見ていない。だから、国家の暴力はさらに容赦なく、抵抗する住民の上に振り下ろされた。米軍基地建設の現場には、民主主義と法治主義が危機に瀕する日本社会の縮図があった。2017年刊行の単行本を、文庫化に当たって増補。百田尚樹氏によるデマとヘイトに満ちた講演会、全国紙の沖縄2紙攻撃、事故の懸念が現実になったヘリ不時着炎上について加筆した。


朝日新聞出版 / 814円 / ISBN 4022620005
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