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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■現場 記者たちの九州戦後秘史(西日本新聞社編)

島村 史孝(西日本新聞出身)
■私たちは何を見、何を考えたか

 九州で戦後起きた事件・事故・自然災害・公害・人権・地域づくりなどについて、現場で取材した記者たちが再度ペンを執り、当時の時代状況や秘話の類いも交えて再検証し、戦後史に位置づけた。執筆者は100歳を最高齢にOB43人、現役4人。全52話。

 素材は、戦後の占領下の取材活動、三池争議と炭鉱事故、三派全学連のエンプラ闘争、九州大への米軍戦闘機墜落、よど号ハイジャック、同和問題のタブーに挑戦、「拝金社会」の幕開けを告げた別府3億円保険金殺人、吉野ケ里で巨大墳丘墓発掘、日本初の「セクハラ訴訟」、中国残留孤児の人生、水俣病医学者の警告、ハンセン病問題が今に問うもの、「ヤミ金融」の実態を暴く、など。

 時代の転換点にあって、遠ざかる記憶から教訓を引き出し、未来への伝言としている。


西日本新聞社 / 1540円 / ISBN 4816709843

■歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか

大治 朋子(毎日新聞社専門記者)

▼暴力メカニズムを「見える化」 

 著者はアフガニスタンやエルサレムで紛争地取材を続け、その後2年間休職してイスラエルの大学院やシンクタンクを拠点に「人はなぜ過激化するのか」をテーマに研究。コロナ禍に現れた「自粛警察」からテロリズムにいたるまで、通底する暴力の暴走メカニズムを解き明かし本書で「見える化」した。「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく。詳細な文献情報を併せた「アカデミ・ジャーナリズム」実践の調査報道。

 


毎日新聞出版 / 1760円 / ISBN 4620326380

■「高齢ニッポン」をどう捉えるか

浜田 陽太郎(朝日新聞社編集委員)

▼社会保障めぐるメディアの在り方 

 「ああ、そういうの、男の記者でもやるんだ」。主婦の年金問題を追っていた「くらし報道」の現場から、「権力の館」である首相官邸の記者クラブに放り込まれたとき、政府首脳から言われた言葉です。17年前、小泉首相時代のエピソードを盛り込んだ終章のサブタイトルは「社会保障のメディアリテラシー」。勁草書房のサイト内「あとがきたちよみ」コーナーで気前よく(笑)、無料公開しています。


勁草書房 / 2420円 / ISBN 4326654260

■大江健三郎全小説全解説

尾崎 真理子(読売新聞出身)

▼もう難解とは言わせません 

 「若い頃はよく読んだけど」。ならば今こそ再読をお勧めしたい。氏が60年間に書いた小説は戦後日本を生きた人間たちの記録であり、ノーベル賞はここまで時代を背負い、情趣豊かな作家にしか与えられぬと実感されることでしょう。とはいえ『芽むしり仔撃ち』以来の長編30作、中短編66作を読み通すのは至難の業。粗筋と主題を大づかみし、主要批評を網羅した本書で、まず全貌を知るのも一計では。「晩年の仕事」も味わい深いです。


講談社 / 3850円 / ISBN 4065195063

■マンガ万歳―画業50年への軌跡

小松 嘉和(秋田魁新報社東京支社編集部長)

▼漫画家・矢口高雄さんの半生 

 「釣りキチ三平」で知られる人気漫画家・矢口高雄さんは今年で画業50年。その節目に合わせた聞き書きで、半生をたどった。雪深い山里に生まれ、30歳で銀行員から漫画家に転身。「幻の怪蛇バチヘビ」で大ヒットし、ツチノコブームの火付け役に。その直後に発表した「釣りキチ三平」は老若男女が心酔する名作となった。まるで漫画のような波瀾万丈のドラマが満載だ。

 未完のままお蔵入りとなった「雨沼の鱗剝ぎ」の原画や、矢口さんお気に入りの短編作品も収録。心の奥底にある昭和の原風景を呼び覚ます。


秋田魁新報社 / 1430円 / ISBN 4870204142

■外交回想録 竹下外交・ペルー日本大使公邸占拠事件・朝鮮半島問題

寺田 輝介(外務省出身)

▼ペルー事件、ゲリラとの交渉も紹介 

 本書はオーラル・ヒストリーの手法に基づき、中央大学の服部龍二教授の総括の下、北海学園大学の若月秀和氏、三重大学の庄司貴由氏の協力を得て完成したものである。本書では、筆者の中米局長時代に展開した対中南米政策について触れたが、本書の中核的エピソードは、筆者が直接関与した中南米関係、特にペルー関係であり、在ペルー日本大使公邸占拠事件である。本書を通じて二十数年間伏せておいた筆者とゲリラとの交渉を初めて具体的に紹介することにした次第である。


吉田書店 / 4180円 / ISBN 4905497906

■熾火 田辺清とエディが紡いだボクシングの絆

別府 育郎(産経新聞社特別記者)

▼魅力あふれる男たちの群像劇 

 ローマ五輪銅メダリストの田辺清はプロに転向し世界王者をノンタイトル戦で破るが、正式挑戦を目前に網膜剥離で視力を失い、無敗のまま引退した。悲運のボクサーと名トレーナーのエディ・タウンゼントの邂逅と失意。そしてエディの没後も彼を慕う田辺やカシアス内藤、村田英次郎、井岡弘樹ら教え子の物語を追った。エディの未亡人がママを務めるスナックのカウンターから見つめ続けた、魅力あふれる男たちの群像劇でもある。


ベースボール・マガジン社 / 1760円 / ISBN 4583113048

■「社会人教授」の大学論

宮武 久佳(共同通信社出身)

▼入門「今どきの大学事情」 

 「日本の大学は大したことない」と世界ランキングが告げる。ガラパゴス・ニッポンでは「大学」も独自の進化を遂げた。日本で出世する人は「大学で勉強しなかった」ことを自慢する。だから就活学生は学力でなく「コミュ力」を最大の武器にしようとする。しわ寄せが研究者に向かう。「勉強させない国」は研究を軽視する国だ。

 解決のヒントは「もっと勉強するんだった」と嘆く社会人にある。会社と大学とを往復する大人、増えてほしい。


青土社 / 2200円 / ISBN 4791773055

■エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り

村山 祐介(朝日新聞出身)

▼壁と移民、国境の狂気の現実 

 そこでは子どもが、妊婦が、故国を追われた人々が、息絶えていく。米・メキシコ国境3200㌔に向かう移民たちの命懸けの旅の知られざる現実だ。母国からの「エクソダス」(大量脱出)を迫られた移民たちの足取りを同じ地平で歩き、その源流まで1万5千㌔をたどり、18カ国の約300人に取材した大型ノンフィクション。朝日新聞GLOBE掲載の一連のルポルタージュは2019年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した。


新潮社 / 1980円 / ISBN 4103536519

■ラジオで伝えた「世の中の仕組み」

加倉井 弘(NHK出身)

 

▼大事なことを短く書きました

 太平洋戦争の主戦場はほとんど海外だった。そこで失われた日本兵の命は、病気と飢餓によるものが圧倒的に多かったことをご存じだろうか。共産党の支配する中国も含めて世界各国がマクロ経済学で動いているが、赤字国債はいくら増えても大丈夫なのか。去年、日本は国際捕鯨委員会から脱退したが、日本外交は「日本の安全と生存の維持」をきちんと支えているのか。

 そんなことをこの本に書いてみた。


東京図書出版 / 880円 / ISBN 486641314X
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