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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。


■首都圏の「綻び」 記者が出会った識者と考察

長竹 孝夫(中日新聞・東京新聞出身)

▼社会の「本質」に迫る一冊

 福島原発事故と足尾銅山鉱毒事件の共通性をひもとき、首都直下地震や首都機能バックアップ論。富士山噴火による影響。2025年問題を視野に高齢者や介護、医療や健康のほか、老朽インフラや大水害など首都圏の諸課題を識者63人と考察しました。急激に広がるドローンやAI社会を展望。そして「言葉の政治家」ワイツゼッカ―(元ドイツ大統領)来日の足跡。「抵抗の新聞人」として名を残した桐生悠々の言葉で締めくくっています。


あけび書房 / 1650円 / ISBN 487154219X

■朝日新聞記者の書く力 始め方、終わり方

真田 正明(朝日新聞出身)

▼語感、季節感、比喩などについて

 夏目漱石からフーテンの寅さんまで、好きな題材をたくさん取り上げました。前作の『朝日新聞記者の200字文章術』では、現役時代に担当していた「素粒子」の話を中心に書きましたが、今回はほとんど触れていません。その代わり、語感の違い、季節感の取り入れ方、比喩やオノマトペの使用法、パロディの本質などについて、いろんな作品をもとに考えてみました。すぐに役立つハウツー本ではありません。読み物として読んでいただければ幸いです。

 


さくら舎 / 1650円 / ISBN 486581356X

■冤罪をほどく〝供述弱者〟とは誰か

秦 融(元中日新聞編集委員)

▼捜査、司法にはない独自の視点で

 「裁判は裁判、報道は報道」。原審から7回も有罪が認定された殺人事件を「冤罪」と訴え続けた報道「西山美香受刑者(出所後は「さん」)の手紙」には、自分たちの取材を信じる記者たちの信念が込められていました。冤罪報道で求められるのは捜査機関、裁判所にはない独自の視点です。必要なのは勇気ではなく、紙面化までの技術的なハードルをどう越えるか。余すことなく明らかにしました。講談社本田靖春ノンフィクション賞受賞。


風媒社 / 1980円 / ISBN 4833111446

■国際報道を問いなおす―ウクライナ戦争とメディアの使命

杉田 弘毅(共同通信社特別編集委員)

▼日本の国際報道の突破口に

 ウクライナ戦争を新聞もテレビも毎日ふんだんに伝えている。米国のメディアよりもその割合は大きいようだ。プーチン氏の悪魔性、可視化された爆撃被害、ガソリン・食料価格の高騰、そして核戦争の恐怖など、日本人が引きつけられる理由はある。外国メディアの「翻訳・紹介」としばしばやゆされた国際報道の突破口になりそうだ。戦争報道の歴史に始まり、投稿画像分析に代表されるOSINTなど最新事情も盛り込みました。


筑摩書房 / 968円 / ISBN 4480074945

■「ナパーム弾の少女」五〇年の物語

藤 えりか(朝日新聞社デジタル機動報道部記者)

▼少女が送った苦難と激動の人生

 ベトナム戦争末期の1972年、ナパーム弾を浴びた少女の写真がベトナム人のAP通信記者の手で撮影され、戦争の残酷な現実を世界に伝えて反戦のうねりを巻き起こしました。一方、被写体の女性がその後、いかに苦難と激動の人生を送ったかは意外と知られていません。本人や撮影者、関係者に取材を重ね、50年の節目にまとめました。カナダへの決死の亡命譚はまるで映画のよう。ロシアのウクライナ侵略などで戦争被害者や避難民が増える今こそ、広く伝えたいです。


講談社 / 1980円 / ISBN 4065288134

■アメリカの政治任用制度―国際公共システムとしての再評価

小池 洋次(日本経済新聞出身)

▼日本の改革論議にも一石投じたい

 アメリカの政策形成の核心というべき政治任用制度について、四半世紀にわたり調査・研究した結果です。専門書の体裁を取っていますが、多くの人々に読んでもらえるように書きました。政策を作るために国民各層の総力を結集できるのがアメリカのシステムです。我々はそれをもっと深く理解すべきではないでしょうか。国の統治のあり方を議論する際に、ぜひ、参考にしていただきたいと思っています。

 

 

 

 

 


東洋経済新報社 / 6050円 / ISBN 4492212493

■韓国語楽習法 私のハングル修行40年

黒田 勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

▼韓国語は実に面白い 

 日本で韓国語ブームだという。在韓記者として日ごろは反日・嫌韓がらみの記事が多いが、日本からの意外(?)な便りに驚いている。背景はKポップや韓国ドラマ人気とか。大学でも韓国語学科の志望者が急増と聞く。そこで筆者にもお鉢が回ってきた。韓国語入門書は1988年のソウル五輪以来、30数年ぶりだ。あらためて「韓国語は面白い」を書いた。老後の手習いとしてもぜひお勧めしたい。


角川新書 / 990円 / ISBN 4040824318

■沙飛〈中国のキャパ〉と呼ばれた戦場写真の先駆者

加藤 千洋(朝日新聞出身)

▼数奇な戦場カメラマンの足跡 

 沙飛は日中戦争をカメラで戦い、数多くの貴重な記録写真を残した八路軍初の従軍カメラマンだ。だが心身のストレスから入院した病院で主治医を射殺し、処刑されてしまう。主治医は新中国建設に協力するために残留した日本人医師だった。この悲劇は両国の関係者に深い傷を残す。改革開放後、刑事責任を負えない事件だったと沙飛は名誉回復され、「中国のキャパ」とも評されるなど再評価が進む。国交正常化50周年の今、数奇な戦場カメラマンの足跡は私たちに何を語るか。


平凡社 / 3080円 / ISBN 4582231322

■韓国民主政治の自壊

鈴置 高史(日本経済新聞出身)

▼ウクライナに冷たい韓国 

 1987年の民主化を機に韓国では拷問も新聞の検閲もなくなりました。しかし35年たった今、根付きかけた民主政治が崩れ始めています。左右対立が激化したため、政権をとった党派が裁判所や検察を「私物化」するようになったのです。法治なくして民主主義は成立しません。ロシアに侵略されたウクライナに対し、韓国が異様に冷たいのも気になるところです。87年の韓国を取材した記者として「そもそもあれは民主化だったのか」と首をかしげながら、この本を書きました。


新潮新書 / 946円 / ISBN 4106109530

■沖縄返還と密使・密約外交 宰相佐藤栄作、最後の一年

馬場 錬成(読売新聞出身)

▼佐藤外交 私物化の全容に迫る 

 終活整理で出てきた50年前の沖縄返還と西山記者逮捕事件などの大量の資料を前に、捨てるべきか生かすべきか考え、ついに生かすことに踏み切った。宰相佐藤栄作の密使・密約外交や西山事件は、これまでも専門家らによって様々に論じられてきたが、各論にとどまっていた(私見)。そこで錯綜している全体像が分かるように書くことで「佐藤外交の私物化」を明かそうと試み、50年前の警視庁クラブ時代の体験なども織り込んで書いた。

 


日本評論社 / 3080円 / ISBN 4535587701
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