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会員が出版した書籍を、著者自身によるワンポイント紹介とともに掲載しています。
■志村ふくみ 染めと織り
古沢由紀子(会報委員 読売新聞社編集委員)
▼「手仕事」の尊さ伝えたい
人間国宝の染織家、志村ふくみさんは97歳。二人の娘を抱えて離婚後、民芸運動を提唱した柳宗悦の勧めで織りの道へ。植物の「命の色をいただく」と表現する草木染にこだわり、多彩な紬織の作品を生み出してきました。本書は新聞連載「時代の証言者」に大幅加筆し、豊富な写真とともに、創作の源泉に迫る評伝です。染織の「学校」を設立し、新しい形で手仕事の価値を伝えようとする思いを、多くの人に知ってほしいと願っています。
求龍堂 / 3300円 / ISBN 4763021087
■歌から見える世界 心の歌よ!Ⅲ
伊藤 千尋(朝日新聞出身)
▼民族固有の魂の歌に迫る
映画「卒業」で流れた「サウンド・オブ・サイレンス」は、ケネディ暗殺事件の副産物でした。「コーヒー・ルンバ」は、アラブのお坊さんとは無関係な南米ベネズエラの歌です。世界の歌を現地調査すると、思いがけない発見があります。
「ソルヴェイグの歌」を訪ねて北欧ノルウェーへ。「鳥の歌」のカザルスを追ってカリブ海へ。コロナ禍で旅ができない時期だからこそ、紙上で試みた地球規模の歌の探検。私たちになじみ深い歌の成立事情と風土、歴史的背景を探り、民族固有の「魂の歌」の内実に迫ります。
新日本出版社 / 1760円 / ISBN 4406066055
■ジャーナリズムの倫理
山田 健太(日本新聞協会出身、専修大学)
▼言論法の体系書 理論と実務から
全面改訂した『法とジャーナリズム 第4版』と本書は、ジャーナリズムを支える法制度と倫理の両側面を、理論と実務の双方の視点から網羅的に扱った〈言論法〉の体系書をめざしました。いま多くの国で民主主義が揺らいでいます。その象徴例が表現の自由の縮減であり、ジャーナリズム活動の衰退です。そうしたなか、本書が民主主義の維持発展装置でもあるジャーナリズムが元気になることに、いくばくかの貢献ができることを願っています。
勁草書房 / 2750円 / ISBN 4326603402
■世界の知性が語る「特別な日本」
会田 弘継(共同通信出身)
▼近代日本の記憶をたどって
近代日本を論じる長編エッセーです。インタビュー集ではありません。世界の政治家や知識人との対話で浮かび上がった彼らの日本観と、著者のさまざまな体験や記憶を重ね合わせながら、近代日本を考えてみました。といって、小難しいことを述べているわけではないですから、気軽に手にとってみてください。今日の日本の停滞は戦後との向き合い方に問題があるのではないでしょうか。そんなことも考えていただけたらと思っています。
新潮社 / 792円 / ISBN 4106109247
■歴史認識を問う
天日 隆彦(読売新聞出身)
▼中間派の立場から論点整理
戦後50年を迎えた1995年前後から、歴史認識問題は政治・外交上のイシューであり続けてきた。この間、文化部記者、論説委員として先の大戦を巡る問題に取り組んできた筆者が、論点を整理した。東京裁判、戦没者追悼、慰安婦問題など8章で構成。報道現場で活用できるよう、根拠となる資料の紹介にも重点を置いた。左右両派の間で論争をよんできたテーマだが、中間派の一見解として読んでいただきたい。
晃洋書房 / 2640円 / ISBN 4771035377
■先史時代物語 世界遺産をたどって
土谷 精作(NHK出身)
▼岐路に立つ現代文明 見直す契機に
北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録された。壮大な宮殿や城壁を備えていない縄文遺跡が世界遺産に値するのか。こんな疑問からスタートし、世界各地に散在する先史時代の世界遺産をたどってみた。先史時代の人類史においてみると、自然と共生し、戦争がなかった縄文時代の特性が際立っている。科学と技術で自然を支配できると考えている現代文明に「もっと謙虚に」という縄文人からのメッセージが聞こえてきた。
エコハ出版 / 2200円 / ISBN 4866935014
■戦後沖縄と復興の「異音」
謝花 直美(沖縄タイムス記者)
▼米占領下、自律選んだ人々
1950年代半ばの沖縄で、「島ぐるみ闘争」と呼ばれた土地闘争は、現在の平和運動の源流となった。本書はこうした運動の中で拳を上げなかった人々の生存を描いた。
占領下で進む復興は、人々に米軍への協力を求めた。「戦争未亡人」のミシン業、那覇人の軍労働、沖縄初の大学での弾圧を通し、復興を巡る人々の軋轢を描いた。声を上げられずとも、ぎりぎりの地点で自律を選ぼうとした人々を、復興の中の「異音」として描いた。
有志舎 / 2860円 / ISBN 4908672490
■パリ日記 特派員が見た現代史記録
山口 昌子(産経新聞出身)
▼欧州激動の時代を目撃
産経新聞パリ支局長(1990年5月―2011年9月)及び、その後のパリでのフリー記者の日記。発売中の1巻「ミッテランの時代」(90年5月―95年4月)は89年11月のベルリンの壁崩壊後のパリを含む欧州の激動の時代。湾岸戦争、ボスニア紛争、アフガン戦争への参戦やソ連の消滅と一連の東欧の自由選挙。さらにカンボジア和平国際会議やパリ国際会議に加えECからEUへの拡大。おまけにミッテランの末期ガンに隠し子事件と多忙を極めたが、この時代を現場から報道できたことを僥倖といわず、何といおう。
藤原書店 / 5280円 / ISBN 4865783245
■イギリス解体の危機
中島 裕介(日本経済新聞欧州総局記者)
▼小国か今のカタチ死守か
TPPの参加表明やG7サミットの議長など華々しい外交政策を展開するジョンソン英政権。だが、すでに「終わった」ものと見られがちのブレグジットにより、スコットランドや英領北アイルランドの「英国からの離脱」リスクは残ったままだ。本書では、ブレグジット後の英国が小国へと没落するのか、今の国のカタチを死守して影響力を高めるのか探った。先人・先輩の深い見解や洞察にはかなわないが、その代わり拙著では現役閣僚や有識者のインタビューをふんだんに交え、現地の生の声もお届けする。
日本経済新聞出版 / 990円 / ISBN 4532264650
■北方領土交渉史
鈴木 美勝(専門誌「外交」前編集長)
▼安倍対露外交の「過誤」を分析
拙著『日本の戦略外交』の続編。安倍対露外交の虚実を描いた。まず、幾多の政治家がチャレンジしてきた北方領土問題に関して、鳩山一郎以来の冬ざれの交渉史を「外務省ロシア・スクール」の盛衰と共に振り返る。その上で、「新しいアプローチ」と称してロシアの固い施錠を開けようとした安倍対露外交をどう評価するか。2016年の長門敗戦、18年シンガポールの「空ろな約束」を俎上に乗せ、外交の〈三層構造〉と〈四つの視点〉に焦点をあて分析した。
ちくま新書 / 1034円 / ISBN 448007418X